過去問解説(企業経営理論)_2022年(令和4年) 第37問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★☆☆☆☆(サービス・マーケティング基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率75%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(サービス品質評価の定番)

第37問

サービス・マーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。


「PC のメンテナンスサービス」「いつも笑顔でサービス満点」「 3 つ買ったら 1 つサービス」など、日本ではサービスという言葉がさまざまな場面で使われているが、これらの例はすべてサービス・マーケティングの文脈で用いられるサービスに該当する。
経済のサービス化が進んでいる最大の要因として、消費者の所得が減少し、モノを購入できなくなっている状況が挙げられる。
サービスにおける品質の変動性を回避するためには、企業は顧客がサービスを体験する前に魅力的なプロモーションを実施し、サービスに対する期待値を均一に高めておくといった方法をとる必要がある。
サービス品質の計測尺度の 1 つである SERVQUAL は有形性、信頼性、反応性、確実性、共感性の 5 つの変数で構成され、それぞれにおいて、サービス提供における事前と事後の差を計算し、サービス品質の評価が行われる。

出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:×
 例示の「サービス満点」「1つサービス」は便宜やおまけの意味で使われる日常語。サービス・マーケティングで言うサービスは、無形性・同時性・変動性・消滅性などの特性を持つ提供行為を指し、全てが該当するわけではない。

イ:×
 経済のサービス化は、技術進歩、所得上昇に伴う体験・時間価値の重視、企業の外部委託やソフト化などが主因。所得減少による「買えないからサービスへ」は説明として不適切。

ウ:×
 品質の変動性は人依存・同時生産消費に起因し、標準化・教育訓練・プロセス設計・サービス・ブループリント等で制御する。期待値を均一に“高める”プロモーションはむしろギャップ拡大のリスク。

エ:〇
 SERVQUALは「有形性・信頼性・反応性・確実性・共感性」の5次元について、期待(事前)と知覚(事後)の差(ギャップ)を測定し品質を評価する代表的尺度。


学習のポイント

  • サービスの特性
    無形性・同時性(不可分性)・変動性・消滅性を押さえる。マーケの「サービス」と日常語の使い分けに注意。
  • SERVQUALの構成
    有形性(Tangibles)/信頼性(Reliability)/反応性(Responsiveness)/確実性(Assurance)/共感性(Empathy)。期待−知覚のギャップで評価。
  • 変動性への対策
    標準化、教育、チェックリスト、ブループリント、モニタリング、テクノロジー活用(セルフサービスや自動化)でバラツキを抑える。
  • サービス化の背景
    技術進歩、所得・余暇拡大、情報化、外部委託、経験価値志向。所得減少説は誤り。
  • 試験対策のコツ
    SERVQUALの5次元と「期待−知覚ギャップ」を暗記。品質安定化は“プロモーション”ではなく“プロセス設計”で対処する。