過去問解説(企業経営理論)_2021年(令和3年) 第2問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★☆☆☆☆(PPMの基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率75%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(事業ポートフォリオ戦略の定番)

第2問

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が開発した「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」(以下「PPM」という)と、その分析ツールである「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス(BCG 成長-シェア・マトリックス)」に関する記述として、最も適切なものはどれか。


PPM の分析単位である戦略事業単位(SBU)は、製品市場の特性によって客観的に規定される。
「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス」では、縦軸に市場成長率、横軸に戦略事業単位(SBU)の売上高をとり、その 2 次元の座標軸の中に各事業が位置付けられる。
「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス」において「金のなる木」に分類された事業は、将来の成長に必要な資金を供給する。
「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス」において「花形」に分類された事業は、生産量も大きく、マージンは高く、安定性も安全性も高い。
「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス」において「問題児」に分類された事業からは撤退すべきである。

出典:中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:×
 SBU(戦略事業単位)は、製品市場の特性だけで客観的に決まるものではなく、企業の戦略的判断によって定義される。

イ:×
 横軸は売上高ではなく「相対的市場シェア」をとる。縦軸は市場成長率で正しい。

ウ:〇
 「金のなる木」は市場成長率が低いが相対的市場シェアが高い事業。安定したキャッシュフローを生み出し、他事業(問題児や花形)の投資資金源となる。

エ:×
 「花形」は市場成長率・シェアともに高いが、成長投資に資金を要するため、必ずしも高マージン・安定性があるとは限らない。

オ:×
 「問題児」は成長率が高いがシェアが低い事業。撤退一択ではなく、投資によるシェア拡大か撤退かの選択が必要。


学習のポイント

  • PPMの基本構造
    縦軸=市場成長率、横軸=相対的市場シェア。4象限に「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」。
  • 金のなる木の役割
    安定的な資金供給源。他事業の投資原資となる。
  • 花形の特徴
    成長市場でシェアが高いが、投資負担も大きい。将来の「金のなる木」候補。
  • 問題児の戦略
    投資してシェア拡大を狙うか、撤退するかの判断が必要。
  • 負け犬の扱い
    成長率・シェアともに低く、撤退や縮小が検討される。
  • 試験対策のコツ
    各象限の特徴と資金フローの関係を整理して覚えること。