過去問解説(企業経営理論)_2021年(令和3年) 第13問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★☆☆☆☆(CSRの基本理解)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率75%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(企業倫理・CSR)

第13問

企業の社会的責任(CSR)は重要な戦略課題である。CSR に関する記述として、最も不適切なものはどれか。


CSR で重要なのは、利益を獲得するプロセスにかかわりなく、ステークホルダー間で利益を公平に分配することである。
CSR とは、企業は社会に与える影響について責任を持ち、社会の持続的発展のために貢献すべきとする考え方と、それに基づいて実践される諸活動のことを指す。
CSR を遂行するためには、企業は株主に対する責任のみならず、従業員、取引先、消費者、地域住民、行政、社会全体といった様々なステークホルダーに対する責任を自発的に果たさなければならない。
ISO26000 は、企業のみならず、あらゆるタイプの組織の社会的責任に関する国際規格である。
不祥事が生じないよう、企業がコンプライアンスを日ごろから徹底することは、CSR の一環である。

出典: 中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇(不適切)
 CSRの本質は「利益の分配」ではなく、「利益を得るプロセスそのものが社会的に適切かどうか」にある。記述は誤り。

イ:×
 CSRの定義として正しい。企業は社会に与える影響に責任を持ち、持続可能な発展に貢献する。

ウ:×
 CSRは株主だけでなく、従業員・取引先・消費者・地域社会など多様なステークホルダーへの責任を含む。記述は正しい。

エ:×
 ISO26000はCSRに関する国際規格であり、企業に限らずあらゆる組織に適用される。記述は正しい。

オ:×
 コンプライアンス徹底はCSRの基本的要素の一つ。不祥事防止の観点からも正しい。


学習のポイント

  • CSRの本質:
    利益の「分配」ではなく、利益を得る「プロセスの正当性」が重要。
  • CSRの範囲:
    株主だけでなく、従業員・取引先・消費者・地域社会・行政など幅広いステークホルダー。
  • 国際規格:
    ISO26000はCSRの行動指針を示す国際規格。
  • 試験対策のコツ:
    「CSR=利益の分配」ではなく「持続可能な発展への責任」と覚える。