過去問解説(企業経営理論)_2021年(令和3年) 第18問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(組織行動論の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(集団思考の理解)

第18問

I.L.ジャニス(I. L. Janis)が提唱した集団思考(groupthink)の先行条件と兆候に関する記述として、最も不適切なものはどれか。


誤った判断を下すことは許されないというような外部からの強い圧力に集団がさらされる場合、集団思考が起きやすい。
機密情報を扱う場合のように集団のメンバーが限定されると、その集団は孤立しやすくなるため、現実に即さない議論が促進されやすい。
集団思考の兆候として、自分たちの集団の能力を過小評価し、集団における意思決定では極端なリスクを避けるようになる。
集団思考の兆候として、集団外部の人物や集団に対して紋切り型の判断を行うようになる。
集団思考の兆候として、集団内の意思決定を正当化するための理屈づけを行い、自分たちにとって都合の悪い情報を過小評価するようになる。

出典: 中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:×
 外部からの強い圧力や脅威は、集団思考を誘発する先行条件の一つ。記述は正しい。

イ:×
 集団が孤立すると、現実に即さない議論が促進されやすくなる。これも集団思考の先行条件として正しい。

ウ:〇(不適切)
 集団思考の兆候は「過大評価」「リスク過小評価」であり、むしろ自分たちの能力を過大評価し、リスクを軽視して極端なリスクを取る傾向がある。記述は逆で不適切。

エ:×
 外部に対して紋切り型の判断を行うのは、集団思考の典型的な兆候の一つ。記述は正しい。

オ:×
 集団内の意思決定を正当化するために理屈づけを行い、都合の悪い情報を軽視するのも集団思考の兆候。記述は正しい。


学習のポイント

  • 集団思考の先行条件
    強い外部圧力、集団の孤立、リーダーシップの偏り、同質的なメンバー構成などが挙げられる。
  • 集団思考の兆候
    集団の能力の過大評価、リスクの過小評価、外部へのステレオタイプ化、自己検閲、異論の抑圧、合意の幻想などが典型。
  • 試験対策のコツ
    「集団思考=過大評価とリスク軽視」と覚える。逆に「過小評価・リスク回避」と書かれていたら誤りと判断できる。