難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(VRIOの基本理解)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(競争優位の基礎理論)
第1問
VRIO フレームワークにおける競争優位に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
ある経営資源が数多くの企業に保有されていても、外部環境の機会を適切にとらえ脅威を無力化するものであれば、この経営資源は一時的な競争優位の源泉となる。
イ
経営陣のチームワークや従業員同士の人間関係などの組織属性が経済価値を生み、希少性があり、かつ他の企業による模倣が困難な場合、この組織属性は企業の一時的な競争優位の源泉となる。
ウ
組織内のオペレーションを他の企業に比べて効率的に行うことができる技術やノウハウが、業界内で希少である場合、模倣困難性を伴わなくても企業の一時的な競争優位の源泉となる。
エ
他の企業が獲得できない経営資源が経済価値を持ち、業界内で希少である場合、その経営資源を活かす組織の方針や体制が整っていなくても、持続的な競争優位の源泉となる。
出典: 中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ウ
解説
ア:×
経営資源が多くの企業に保有されている場合、それは希少性を欠くため競争優位の源泉にはならない。外部環境への対応力があっても、希少性がなければ優位性は持続しない。
イ:×
経営陣のチームワークや従業員の人間関係が価値・希少性・模倣困難性を備えていれば「持続的競争優位」の源泉となる。記述の「一時的な競争優位」という表現は誤り。
ウ:〇
VRIOフレームワークでは「価値」と「希少性」を備えた資源は、一時的な競争優位の源泉となる。模倣困難性や組織体制が整っていれば持続的競争優位となるが、希少性だけでも一時的な優位は可能。
エ:×
経営資源が価値と希少性を持っていても、それを活かす組織体制がなければ持続的競争優位にはならない。組織(Organization)の要素が欠けているため誤り。
学習のポイント
- VRIOフレームワークの4要素
・Value(価値)
・Rarity(希少性)
・Imitability(模倣困難性)
・Organization(組織) - 競争優位の分類
・価値なし → 競争劣位
・価値あり+希少性なし → 競争均衡
・価値あり+希少性あり → 一時的競争優位
・価値あり+希少性あり+模倣困難+組織体制 → 持続的競争優位 - 試験対策のコツ
「価値+希少性=一時的優位」「さらに模倣困難+組織=持続的優位」と整理して覚えると得点しやすい。