難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(アンゾフの意思決定分類の基礎)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(戦略論の基本理解)
第2問
H.I.アンゾフは、経営戦略の考察に当たって、戦略的意思決定、管理的意思決定、業務的意思決定の3つのカテゴリーを基軸として、企業における意思決定を論じている。
それぞれの意思決定に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
管理的意思決定とは、最大の成果を引き出すための経営資源の組織化に関わる意思決定である。
イ
企業の多角化戦略は、管理的意思決定における主要な決定事項の1つである。
ウ
戦略的意思決定の対象となる問題は、事業活動を通じて生じることから、トップ・マネジメントが意識的に関心を寄せなくても、自ら明らかになる。
エ
戦略的意思決定は、企業外部の問題よりも、むしろ企業内部の問題と主に関わっている。
オ
戦略的意思決定は、企業における資源配分を中心としており、固定資産や機械設備など企業内部の資産に対する投資の意思決定と同じである。
出典: 中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ア
解説
ア:〇
管理的意思決定は、経営資源の組織化や調整に関わる意思決定であり、最大の成果を引き出すための資源配分や組織設計を行う。正しい記述。
イ:×
多角化戦略は企業の方向性を決める「戦略的意思決定」に属する。管理的意思決定ではない。
ウ:×
戦略的意思決定はトップマネジメントが主体的に取り組む必要がある。自動的に明らかになるものではない。
エ:×
戦略的意思決定は主に外部環境(市場・競合・技術変化など)に関わる。内部問題に限定するのは誤り。
オ:×
資源配分や投資判断は管理的意思決定や業務的意思決定に近い。戦略的意思決定は企業全体の方向性や事業領域の選択に関わる。
学習のポイント
- 戦略的意思決定
・企業の方向性や事業領域の選択に関わる。
・外部環境への対応が中心。トップマネジメントが担う。 - 管理的意思決定
・経営資源の組織化・配分・調整に関わる。
・中間管理職層が担うことが多い。 - 業務的意思決定
・日常的な業務遂行に関わる。
・現場レベルでの短期的判断。 - 試験対策のコツ
「戦略=方向性」「管理=資源配分」「業務=日常運営」と整理して覚えると理解しやすい。