難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★★☆☆(ファミリービジネスのスリー・サークル理解)
- 正答率: ★★★☆☆(正答率60%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(所有・家族・事業の役割整理)
問題文
次の文章を読んで、問題に答えよ。
企業Aは、前社長のBが30年前に設立した株式会社であるが、Bが高齢化のため、すでに10年前から同社の役員を務めていた長男Cが社長に就任し、Bは会長に就任した。会長としても、毎日出社して仕事は継続する。CはBが所有する株式をすべて買い取り、Cの持株比率は5%から60%になり、Bの持株比率はゼロになった。Bの妻Dも所有する株式すべてを長女Eに譲り、Eの持株比率は10%から20%になった。DもEも、社長の交代前も後も企業Aの役員や従業員ではない。また、Bとともに企業Aを支えていた家族以外の役員5人も退社し、所有していた20%の持株すべてを子供たち10人に譲った。
ファミリービジネスのシステムを、「オーナーシップ(所有)」「ビジネス(事業)」「ファミリー(家族)」の3つのサブシステムから成るスリー・サークル・モデル(下図参照)で表した場合、企業Aの社長交代前と交代後のB、C、Eのスリー・サークルにおける位置の変化を示す最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
B | C | E | |
---|---|---|---|
社長交代前 | 1 | 4 | 7 |
社長交代後 | 4 | 1 | 2 |
B | C | E | |
---|---|---|---|
社長交代前 | 1 | 2 | 7 |
社長交代後 | 2 | 1 | 2 |
B | C | E | |
---|---|---|---|
社長交代前 | 1 | 1 | 2 |
社長交代後 | 2 | 1 | 1 |
B | C | E | |
---|---|---|---|
社長交代前 | 1 | 1 | 2 |
社長交代後 | 4 | 1 | 2 |
B | C | E | |
---|---|---|---|
社長交代前 | 1 | 2 | 7 |
社長交代後 | 3 | 1 | 2 |
出典:中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:エ
解説
ア:×
Cが交代前に「4(家族+事業)」とされているが、実際には株式を保有していたため「所有」も含まれる。
イ:×
交代前にCを「2(所有+家族)」とするのは誤り。役員として事業にも関与していたため「事業」も含まれる。
ウ:×
交代後にEを「1(所有+家族+事業)」とするのは不適切。Eは役員・従業員ではなく、事業には関与していない。
エ:〇
本文条件に最も整合する。
- B:交代前は「1(所有+家族+事業)」、交代後は株式を手放し「4(家族+事業)」
- C:交代前は「1(所有+家族+事業)」、交代後も社長かつ大株主で「1」
- E:交代前後とも「2(所有+家族)」
オ:×
交代後にBを「3(所有+事業)」とするのは誤り。Bは株式を手放しているため「所有」には属さない。
学習のポイント
- スリー・サークル・モデルの基本
・「所有」「家族」「事業」の3つの円の重なりで関係者の立場を表す。
・1=所有+家族+事業、2=所有+家族、3=所有+事業、4=家族+事業、5=所有のみ、6=事業のみ、7=家族のみ。 - 本文条件の整理
・B:交代前は株主・家族・社長(=1)、交代後は株式ゼロで会長職(=4)。
・C:交代前は株主・家族・役員(=1)、交代後は大株主かつ社長(=1)。
・E:交代前後とも株主・家族(=2)、事業には関与せず。 - 試験対策のコツ
・「株式保有=所有」「親族=家族」「役員・従業員=事業」と整理し、前後で変化した要素を追うと正解にたどり着きやすい。