過去問解説(企業経営理論)_2020年(令和2年) 第14問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(古典的組織論の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(バーナードの組織要素)

問題文

C.I.バーナードは、経営者の役割を論じるためには、組織についての理解が不可欠だとし、その要素を明らかにした。
バーナードが示した組織の要素として、最も適切なものはどれか。


階層、分権化、統合化
計画、指揮、統制
コミュニケーション、貢献意欲、共通目的
責任と権限の一致、命令の一元性
分業、専門化、調整

出典: 中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:×
 階層や分権化・統合化は構造設計の概念であり、バーナードが定義した「組織の成立要件」そのものではない。

イ:×
 計画・指揮・統制は経営管理の機能であり、フェヨールらの古典的管理機能に近い。組織成立の三要素とは異なる。

ウ:〇
 バーナードは組織の要素として「共通目的」「協働意思(貢献意欲)」「コミュニケーション」を挙げている。これらが満たされて初めて組織が機能する。

エ:×
 権限責任一致・命令一元性は古典的管理原則(統制原則)で、組織の成立要件ではない。

オ:×
 分業・専門化・調整は組織設計・運営の原理であり、成立要件の定義とは別。


学習のポイント

  • バーナード三要素
    ・共通目的:メンバーが共有する目標。
    ・貢献意欲:参加者が協働に貢献しようとする意思。
    ・コミュニケーション:目的と指示が行き渡り協働を可能にする連絡。
  • 関連知識の切り分け
    ・管理機能(計画・組織・指揮・調整・統制)と、組織成立要件は別物。
    ・原則(権限責任一致・命令一元性)や構造概念(階層・分権)は運営の指針。