過去問解説(企業経営理論)_2020年(令和2年) 第25問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(労働時間制度の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(人事・労務の必須知識)

問題文

労働基準法第32条の3に定められた、いわゆる「フレックスタイム制」に関する記述として、最も適切なものはどれか。


フレックスタイム制は、一定期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を選択して働くことにより、労働者が仕事と生活の調和を図りながら、効率的に働くことを可能とする制度であって、当該一定期間は1か月を超えることはできない。
フレックスタイム制を採用した場合は、労働基準法第34条第2項に定められた休憩についてのいわゆる「一斉付与の原則」は適用されない。
フレックスタイム制を採用する場合であって、対象となる労働者に支払われると見込まれる賃金の額が当該企業における労働者一人当たりの平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準である場合は、労働時間、休日及び深夜労働に関する割増賃金の支払いを要しない。
フレックスタイム制を採用する場合には、労働基準法第32条の3に定められた労使協定において標準となる1日の労働時間を定めておかなければならない。

出典: 中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:×
 フレックスタイム制の清算期間は、法改正により「3か月以内」とされており、1か月を超えることも可能である。

イ:×
 休憩の一斉付与原則は、フレックスタイム制を採用しても適用除外にはならない。

ウ:×
 賃金水準が高い場合でも、労働時間・休日・深夜労働に関する割増賃金の支払い義務は免除されない。

エ:〇
 フレックスタイム制を導入する場合、労使協定において「清算期間」「総労働時間」「標準となる1日の労働時間」などを定める必要がある。


学習のポイント

  • フレックスタイム制の基本:
    清算期間(3か月以内)、総労働時間、標準1日労働時間を労使協定で定める。
  • 誤解しやすい点:
    ・清算期間は1か月に限定されない。
    ・休憩の一斉付与原則は適用される。
    ・賃金水準が高くても割増賃金の免除はない。
  • 試験対策のコツ:
    「清算期間=3か月以内」「協定で標準1日労働時間を定める」を押さえる。