難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★★☆☆(調査手法と製品ミックスの応用)
- 正答率: ★★★☆☆(正答率60%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(マーケティング実務の基礎)
問題文
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
文具の製造・販売を行う中小企業のA社は、従来、売上の多くを大手文具メーカー向けの多様なOEM製品からあげてきた。しかし社会のデジタル化が進む一方で、アナログな文具の人気が高まりつつある昨今の市場環境を鑑みて、A社では今後自社ブランドによる文具の製造・販売を拡大していくことを検討していた。
A社では、働く若い女性や女子学生が、オフィスや自宅、学校で使用する文具が有望ではないかとかねてより考えており、①このセグメントにおけるニーズを探り、確認するためのさまざまな調査を実施することを計画していた。
またこれと並行して、同セグメントに向けて自社ブランドによる製品を発売する場合、どのような②製品ミックスとすべきかについても、検討を重ねていた。
(設問1)
文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。
(設問2)
文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。
出典: 中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
- 設問1:イ
- 設問2:イ
解説
(設問1)
ア:×
フォーカスグループ・インタビューは少人数の意見を深掘りするものであり、一般論を導くには不十分。
イ:〇
エスノグラフィー調査とフォーカスグループ・インタビューは異なる結果を示すことがあり、両者を考慮して製品開発に活かすのは適切。
ウ:×
調査データの分析や解釈はリサーチャー任せにせず、企業側も積極的に関与する必要がある。
エ:×
社外調査や報告は「二次データ」であり、一次データではない。記述は誤り。
(設問2)
ア:×
1つの製品ラインに複数ブランドを展開することも可能であり、必ずしも1対1対応ではない。
イ:〇
同一製品に価格や色のバリエーションを持たせ、複数アイテムとして展開するのは製品ミックス戦略として適切。
ウ:×
アイテム数削減による売上増加は「製品ラインの幅」ではなく「製品ラインの奥行き(デプス)」に関する判断。
エ:×
製品ラインを立案する際に、すべての製品ミックスとアイテムを網羅的に検討する必要はなく、戦略的に選択する。
学習のポイント
- 調査手法:
・フォーカスグループ=少人数の意見を深掘り。
・エスノグラフィー=観察を通じた生活文脈の理解。
・一次データ=自社が直接収集したデータ。二次データ=既存の外部調査や報告。 - 製品ミックス戦略:
・幅(ブレッドス)=製品ラインの数。
・奥行き(デプス)=各ライン内のアイテム数。
・一貫性(コンシステンシー)=製品ライン間の関連性の度合い。
→ 試験では「幅・奥行き・一貫性」の3要素を整理して覚えると混乱しにくい。 - 調査活用の姿勢:
・複数の調査手法を組み合わせることで、より信頼性の高いインサイトが得られる。
・一次データと二次データを区別し、両者を補完的に活用することが重要。 - 試験対策のコツ:
・「エスノグラフィー=観察」「フォーカスグループ=討議」と対比して覚える。
・製品ミックスは「幅・奥行き・一貫性」の3視点で整理。
・設問では「誤った用語の使い方」や「一次/二次データの混同」がよく問われるので注意する。