難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(戦略的提携の基本理解)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(企業間関係の基礎)
問題文
戦略的提携に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
戦略的提携では、大学や政府機関が参加することはないが、同一の業種で競争関係にある企業間よりも異業種の企業間での提携が多く、継続的な関係の構築が図られる。
イ
戦略的提携は、共同開発や合弁事業設立のように、企業が独立性を維持して緩やかな結びつきを構築するが、資本参加や当該企業同士の組織的な統合を通じて経営資源の合体を図る。
ウ
戦略的提携は、提携による協力で得られる恩恵を最大限享受できる組織的な統合を図り、業界内の新しいセグメントや新たな業界への低コストでの参入と経営資源の補完を主な目的とする。
エ
戦略的提携は、当事者間での裏切りのリスクを内包するが、その回避のために、企業には互いの独立性を維持しつつも、階層関係を構築して関係の固定化を図ることが求められる。
オ
戦略的提携は、範囲の経済を利用できる内部開発によるコストよりも、共同開発のような提携によるコストが小さい場合、内部開発に代わって選択される。
出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:オ
解説
ア:×
戦略的提携には大学や政府機関も参加する場合がある。異業種間に限らず、同業種間でも行われる。
イ:×
戦略的提携は独立性を維持した緩やかな協力関係であり、資本参加や統合はM&Aに近い。
ウ:×
組織的統合を前提とするのは誤り。戦略的提携は統合ではなく協力関係を通じた資源補完や市場参入を目的とする。
エ:×
裏切りリスクは存在するが、階層関係を構築して固定化するのではなく、契約や信頼関係で調整する。
オ:〇
戦略的提携は、内部開発よりもコスト効率が高い場合に選択される。特に共同開発などは範囲の経済を活かし、資源を補完し合う合理的手段となる。
学習のポイント
- 戦略的提携の特徴:
・企業間で独立性を維持しつつ協力関係を築く。
・資源補完、新市場参入、技術開発の効率化などが目的。
・M&Aのような統合ではなく、柔軟な協力形態。 - 選択の基準:
・内部開発よりもコストが低い場合。
・スピードやリスク分散が求められる場合。
・外部資源を活用することで範囲の経済を実現できる場合。 - 試験対策のコツ:
「提携=独立性維持」「統合=M&A」と区別する。
戦略的提携はコスト・スピード・リスク分散の観点から合理的に選択される。