過去問解説(企業経営理論)_2019年(令和元年) 第6問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(5フォースの基本)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(業界構造と収益性)

問題文

「業界の構造分析」の枠組みに基づいて想定される、既存企業間での対抗度に関する予測として、最も適切なものはどれか。


業界の成長率が高いと、製品市場での競合が激化して、業界全体の潜在的な収益性は低くなる。
顧客側で生じるスイッチングコストが高い業界では、製品市場での競合が緩和されて、業界全体の潜在的な収益性は高くなる。
固定費が高い業界では、製品市場での競合が緩和されて、業界全体の潜在的な収益性は高くなる。
事業戦略の方向性という点で、多様なバックグラウンドを有する企業が事業を展開する業界では、製品市場での競合が緩和されて、業界全体の潜在的な収益性は高くなる。
退出障壁が高いと、製品市場での競合が緩和されて、業界全体の潜在的な収益性は高くなる。

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:×
成長率が高いと需要拡大で競合は緩和しやすく、収益性は高まりやすい(逆に低成長は競合激化)。

イ:〇
顧客のスイッチングコストが高いほど乗り換えが起きにくく、競争は緩和、収益性は高まりやすい。

ウ:×
固定費が高い業界は稼働率確保のため価格競争が激化しやすく、収益性は低下しやすい。

エ:×
バックグラウンドの多様性は戦略や目標の差を生み、競争の調整が難しくなり対抗度は高まりがち。

オ:×
退出障壁が高いと赤字でも市場にとどまる企業が増え、競争が激化し収益性は低下しやすい。


学習のポイント

  • 対抗度を高める要因:
    ・低成長、固定費や在庫費が高い、退出障壁が高い、競合数が多い・均衡、差別化が低い。
  • 対抗度を緩和する要因:
    ・高成長、顧客のスイッチングコストが高い、製品差別化が高い、容量増が段階的で過剰供給が起きにくい。
  • 試験対策のコツ:
    5つの力の中でも「既存企業間の競争」を左右する典型要因を暗記し、設問の前提(高い/低い)と競争激化・緩和の方向を即判定できるようにする。