過去問解説(企業経営理論)_2019年(令和元年) 第12問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(リーン・スタートアップの基本理解)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(新規事業開発の重要理論)

問題文

S.G.ブランクが構築した「顧客開発」モデルは、顧客ニーズの把握が不十分、かつ顧客の特定化が困難な場合に、仮説の検証を素早く繰り返すことによって、学習を通して、新しいビジネスの成功率を高めようとするモデルであり、それを発展させたものが、E.リースによって提唱された「リーン・スタートアップ」モデルである。

「リーン・スタートアップ」に関する記述として、最も適切なものはどれか。


リーン・スタートアップでは、戦略を検証する実験によって、その実験段階の製品やサービスが失敗に終わった場合、ビジョンを実現するためには、それまでの開発コストが無駄になっても、戦略の方向転換(ピボット)が必要であるとしている。
リーン・スタートアップでは、不確実な状態で新しい製品やサービスを創り出すスタートアップのプロセスを、戦略を検証する実験の連続と捉えており、その実験回数をあらかじめ制限しておくことが、成功の伴と捉えている。
リーン・スタートアップは、①顧客ニーズにかかる「仮説」を立てること、②顧客ニーズを満たすアイデアを「製品化」すること、③製品化したものを消費者に「提供」すること、④新たな顧客を次々に「開拓」することの4つのプロセスを直線的に進めていくものである。
リーン・スタートアップは、新規事業の製品やサービス、対象となる顧客、販売方法などが詳細に記述されたビジネス・プランを構築し、そのビジネス・プランに従って新規事業を進めていくプロセスである。

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇
リーン・スタートアップは「仮説検証型アプローチ」であり、実験段階で失敗が判明した場合は、開発コストが無駄になっても方向転換(ピボット)を行うことを重視する。

イ:×
実験回数を制限するのではなく、反復的に「構築→計測→学習」のサイクルを回すことが重要。

ウ:×
プロセスは直線的ではなく、反復的・循環的に進める。顧客ニーズの仮説検証を繰り返すのが特徴。

エ:×
従来型のビジネスプラン重視の手法とは異なり、詳細な計画に従うのではなく、実験と学習を通じて柔軟に戦略を修正する。


学習のポイント

  • リーン・スタートアップの基本:
    ・「構築(Build)→計測(Measure)→学習(Learn)」の反復サイクル。
    ・MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)を用いて仮説検証。
    ・失敗から学び、必要に応じてピボット(方向転換)。
  • 従来型との違い:
    ・従来:詳細なビジネスプランに基づき進行。
    ・リーン:不確実性を前提に、実験と学習を重視。
  • 試験対策のコツ:
    「ピボット」「MVP」「反復サイクル」がキーワード。直線的プロセスや計画重視の説明は誤りと判断する。