過去問解説(財務・会計)_2024年(令和6年) 第7問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(間接法の基本)
  • 正答率: ★★★☆☆(運転資本の増減に注意)
  • 重要度: ★★★☆☆(キャッシュ・フロー計算の頻出論点)

問題文

以下の資料に基づき、営業活動によるキャッシュ・フローの計算として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

【資料】

  1. 当期の損益計算書(一部抜粋)は次のとおりである。なお、当期の減価償却費は 30,000 千円であり、当期の営業外収益・営業外費用、特別利益・特別損失はゼロとする。

損益計算書(一部抜粋)
(単位:千円)

売上高 1,000,000
営業利益 200,000
法人税、住民税及び事業税 60,000
当期純利益 140,000
  1. 前期末および当期末の貸借対照表(一部抜粋)は次のとおりである。

貸借対照表(一部抜粋)
(単位:千円)

科目 前期末 当期末
売掛金 50,000 46,000
棚卸資産 30,000 33,000
買掛金 35,000 36,200
未払法人税等 30,000 30,000

〔解答群〕

112,200 千円
131,800 千円
137,800 千円
172,200 千円

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)

解答

正解:エ(172,200 千円)


計算ステップ(営業活動によるキャッシュ・フロー:間接法)

  1. 当期純利益
     140,000
  2. 非資金費用の加算(減価償却費)
     + 30,000
  3. 運転資本の増減調整
     - 売掛金の減少(50,000 → 46,000):回収増でキャッシュ増加 → + 4,000
     - 棚卸資産の増加(30,000 → 33,000):在庫増でキャッシュ減少 → − 3,000
     - 買掛金の増加(35,000 → 36,200):支払繰延でキャッシュ増加 → + 1,200
     - 未払法人税等の増減(30,000 → 30,000):増減なし → ± 0
  4. 合計
     140,000 + 30,000 + 4,000 − 3,000 + 1,200 = 172,200

選択肢の検討

ア:×
非資金費用や運転資本の調整が不足しており、当期純利益に対して過少な金額。必要な加算調整(減価償却費等)を反映していない計算。

イ:×
売掛金・棚卸資産・買掛金の調整が一部逆方向(増減の符号)になっている想定の誤り。運転資本の増加・減少のキャッシュ影響の取り扱いが不正確。

ウ:×
未払法人税等の扱いを誤り、不要な減算を入れている想定の誤り。今回は未払残高が横ばいのため、税金キャッシュの追加調整は不要。

エ:〇
純利益に減価償却費を加算し、売掛金減少・棚卸資産増加・買掛金増加、未払法人税等の不変を正しく反映した結果。


学習のポイント

  • 間接法の基本形:
     営業CF = 当期純利益 + 非資金費用(減価償却等) ± 運転資本の増減(売掛・棚卸・買掛 等) ± その他営業性の調整。
  • 運転資本の符号感覚:
     - 売掛金:減少 → プラス(現金化)/増加 → マイナス
     - 棚卸資産:増加 → マイナス/減少 → プラス
     - 買掛金:増加 → プラス(支払繰延)/減少 → マイナス
  • 税金の扱い:
     未払法人税等が増減しない場合、追加の調整は不要(当期純利益に費用は反映済み)。