過去問解説(財務・会計)_2023年(令和5年) 第11問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(財務指標の基礎理解)
  • 正答率: ★★★★☆(基本的な財務比率の定義を知っていれば解ける)
  • 重要度: ★★★☆☆(財務分析の典型論点)

問題文

余剰現金の使途として、新規の設備の購入(D案)と長期借入金の返済(E案)を比較検討している。他の条件を一定とすると、D案とE案の財務諸表および財務比率への影響に関する記述として、最も適切なものはどれか。

〔解答群〕

固定長期適合率は、D案では悪化するが、E案では改善する。
自己資本比率は、D案では不変であるが、E案では改善する。
総資産は、D案、E案ともに不変である。
流動比率は、D案では悪化するが、E案では改善する。

出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)

解答

正解:


解説

ア:×
固定長期適合率=固定資産 ÷(自己資本+固定負債)。
D案(設備購入)では固定資産が増えるため悪化するが、E案(借入金返済)は固定負債が減少するため改善する、というのは一見正しそうに見える。
しかし、E案では余剰現金を使って負債を返済するため、資産も同時に減少する。結果として固定長期適合率は必ずしも改善しない。

イ:〇
自己資本比率=自己資本 ÷ 総資産。
D案(設備購入)は、現金が設備に振り替わるだけで総資産も自己資本も変わらないため比率は不変。
E案(借入金返済)は、負債が減少し総資産も減少するが、自己資本は変わらないため、自己資本比率は改善する。

ウ:×
D案では現金が設備に振り替わるため総資産は不変だが、E案では借入金返済により資産(現金)が減少するため総資産は減少する。したがって「不変」ではない。

エ:×
流動比率=流動資産 ÷ 流動負債。
D案では現金(流動資産)が減少し、固定資産が増加するため流動比率は悪化する。
E案では現金(流動資産)が減少し、同時に長期借入金(固定負債)が減少するため、流動比率は改善しない。


学習のポイント

・自己資本比率は「自己資本 ÷ 総資産」で計算される
・設備購入(D案)は資産の振替にすぎず、自己資本比率は変化しない
・借入金返済(E案)は負債が減少し、総資産も減少するため、自己資本比率は改善する
・固定長期適合率や流動比率は、資産・負債の内訳変化に敏感であり、単純な「改善・悪化」とは限らない
・財務比率の定義を正確に理解していれば、選択肢を一つずつ検証できる