過去問解説(財務・会計)_2023年(令和5年) 第17問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(投資評価と資本コストの関係を理解する必要あり)
  • 正答率: ★★☆☆☆(WACCと事業部別資本コストの混同に注意)
  • 重要度: ★★★★☆(投資評価の典型論点)

問題文

以下の、リスクの異なるH事業部とL事業部を持つ多角化企業に関する資料に基づいて、H事業部に属する投資案(H案)とL事業部に属する投資案(L案)の投資評価を行ったとき、最も適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、この多角化企業は借り入れを行っていない。

【資料】

H案の内部収益率(IRR) 10%
L案の内部収益率(IRR) 7%
リスクフリー・レート 2%
H事業部の資本コスト 11%
L事業部の資本コスト 5%
全社的加重平均資本コスト(WACC) 8%

〔解答群〕

H案、L案ともに棄却される。
H案、L案ともに採択される。
H案は棄却され、L案は採択される。
H案は採択され、L案は棄却される。

出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)

解答

正解:ウ(H案は棄却され、L案は採択される)


解説

  1. 投資評価の基本原則
  • 投資案は「IRR(内部収益率)>資本コスト」であれば採択される。
  • 逆に「IRR<資本コスト」であれば棄却される。
  • 多角化企業の場合、全社的WACCではなく、事業部ごとのリスクに応じた資本コストを用いるのが適切。
  1. H案の評価
  • IRR=10%
  • H事業部の資本コスト=11%
  • IRR<資本コスト → 採算性なし → 棄却
  1. L案の評価
  • IRR=7%
  • L事業部の資本コスト=5%
  • IRR>資本コスト → 採算性あり → 採択
  1. WACCとの関係
  • 全社的WACC(8%)を用いると誤った結論になる可能性がある。
  • 本問は「事業部ごとの資本コストを用いる」点がポイント。

学習のポイント

・投資評価は「IRRと資本コストの比較」で判断する
・多角化企業では、全社的WACCではなく事業部ごとの資本コストを使うのが正しい
・H案はIRR<資本コスト → 棄却
・L案はIRR>資本コスト → 採択
・WACCを使うと誤答に誘導されるため注意