過去問解説(財務・会計)_2023年(令和5年) 第20問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(DCFモデルの応用)
  • 正答率: ★★☆☆☆(計算過程が複雑)
  • 重要度: ★★★★☆(企業価値評価の典型論点)

問題文

以下のデータに基づいて、A社の株主価値を割引キャッシュフローモデルに従って計算したとき、最も適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、これらの数値は毎年3%ずつ増加する。また、A社には現在も今後も負債がなく、株主の要求収益率は6%である。

【A社の次期の予測データ】

(単位:万円)

税引後純利益 1,200
減価償却費 300
設備投資額 500
正味運転資本増加額 100

〔解答群〕

15,000万円
30,000万円
35,000万円
70,000万円

出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)

解答

正解:イ(30,000万円)


解説

  1. フリーキャッシュフロー(FCF)の算定)
    FCF = 税引後純利益 + 減価償却費 − 設備投資額 − 正味運転資本増加額
    = 1,200 + 300 − 500 − 100 = 900(万円)
  2. 成長を考慮したDCFモデル(ゴードン成長モデル)
    企業価値 = FCF₁ ÷ (r − g)
  • FCF₁:次期のフリーキャッシュフロー
  • r:株主の要求収益率(6%)
  • g:成長率(3%) 本問では「次期の予測データ」が与えられているため、FCF₁=900(万円)をそのまま使用する。 よって、
    企業価値 = 900 ÷ (0.06 − 0.03)
    = 900 ÷ 0.03
    30,000(万円)
  1. 選択肢との照合
    → 「イ:30,000万円」が正解。

学習のポイント

  • DCFモデル(ゴードン成長モデル)は「FCF ÷ (r − g)」で計算する。
  • 「次期の予測データ」が与えられている場合は、そのままFCF₁として使用する。
  • 設備投資や運転資本増加を控除してFCFを算出する点に注意。
  • 成長率gが要求収益率rに近い場合、分母が小さくなり企業価値が大きくなる。