難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する)
- 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい)
- 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結)
問題文
会社法が定める剰余金配当に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、中間配当は考慮しないものとし、取締役の任期は2年とする。また、定款において特段の定めはないものとする。
ア
株式会社が剰余金配当をする場合、株主総会の決議によらなければならない。
イ
最低資本金制度が撤廃されたため、株式会社は、純資産額が300万円を下回る場合であっても、剰余金配当をすることができる。
ウ
剰余金の配当が分配可能額を超えてなされたとしても、当該配当を受けた株主が、株式会社に対して、その帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負うことはない。
エ
剰余金配当における配当財産は、金銭でなければならず、金銭以外の財産を配当財産とすることはできない。
出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:ア
解説
ア:〇
剰余金配当は、原則として株主総会の決議によって行う。取締役会設置会社では、定款や株主総会決議に基づき取締役会決議で行う場合もあるが、本問条件では特段の定めがないため株主総会決議が必要となる。
イ:✕
最低資本金制度の撤廃は事実だが、純資産額が一定額を下回る場合には配当制限があり、無制限に配当できるわけではない。
ウ:✕
分配可能額を超える配当を受けた株主は、原則として返還義務を負う。
エ:✕
配当財産は金銭に限られず、金銭以外の財産(現物配当)も可能である。
学習のポイント
- 剰余金配当は原則として株主総会決議によるが、取締役会設置会社では定款や株主総会決議により取締役会決議で行える場合がある。
- 純資産額が一定額を下回る場合の配当制限や、分配可能額の算定ルールを理解することが重要。
- 配当財産は金銭に限らず、現物配当も可能である。