難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(MM理論の前提理解)
- 正答率: ★★★★☆(前提が鍵)
- 重要度: ★★★☆☆(資本構成の基本理論)
問題文
モジリアーニとミラーの理論(MM 理論)に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、投資家は資本市場において裁定取引を円滑に行うことができ、負債にはリスクがなく、法人税は存在しないと仮定する。
ア
PER(株価収益率)は、無借金の方が負債で資金調達するよりも小さくなる。
イ
企業の最適資本構成は存在し、それによって企業価値も左右される。
ウ
企業の市場価値は、当該企業の期待収益率でキャッシュフローを資本化することによって得られ、資本構成に影響を与える。
エ
投資のための切捨率は、資金調達方法にかかわりなく、一意に決定される。
出典:中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)
解答
正解:エ
解説
ア:×
PERが資本構成によって体系的に小さくなるとはいえない。MM理論(税なし前提)では、企業価値は資本構成に依存しない。
イ:×
「最適資本構成が存在する」というのは法人税や負債コストを考慮した現実世界の議論。税なし・負債リスクなしの前提では最適資本構成は存在しない。
ウ:×
企業価値は事業キャッシュフローのリスクで決まる。資本構成が企業価値に影響するというのはMM理論の前提に反する。
エ:〇
MM命題Ⅰ(税なし)によれば、投資のための割引率(切捨率)は資金調達方法にかかわらず一意に決まる。資本構成は企業価値に影響を与えない。
学習のポイント
- MM命題Ⅰ(税なし):企業価値は資本構成に依存しない。
- MM命題Ⅱ(税なし):レバレッジが上がると株主期待収益率は上昇するが、企業価値は不変。
- 法人税や破産コストを考慮すると「最適資本構成」が議論されるが、本問は理想条件下の命題Ⅰが前提。