過去問解説(経営法務)_2024年(R6年) 第11問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい)
  • 重要度:★★★☆☆(頻出ではないが、学習価値が高い)

問題文

産業財産権に関する法律についての記述として、最も適切なものはどれか。

ア 意匠法には、不実施の場合の通常実施権の設定の裁定の制度が設けられている。
イ 実用新案登録出願は、出願日から 1 年 6 カ月を経過した後に出願公開される。
ウ 商標登録出願を意匠登録出願に変更することはできない。
エ 特許出願人以外の者は、特許出願について出願審査の請求をすることができない。

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)

解答

正解:ウ


解説

ア:✕
 意匠法には、不実施を理由とする通常実施権設定の裁定制度は存在しない。これは特許法における制度であり、意匠法には規定されていない。

イ:✕
 実用新案登録出願は、特許出願と異なり出願公開制度の対象ではない。したがって、出願日から一定期間経過後に公開される仕組みはない。

ウ:〇
 商標登録出願を意匠登録出願に変更することはできない。産業財産権制度においては、出願の種類変更は認められる範囲が限定されており、商標と意匠の間での変更は不可である。

エ:✕
 特許出願については、特許出願人以外の者でも出願審査の請求を行うことができる制度が設けられている。


学習のポイント

  • 産業財産権(特許・実用新案・意匠・商標)は、それぞれ制度趣旨や運用が異なるため、混同しやすい論点を整理することが重要。
  • 出願の種類変更は、同一制度内または特定の制度間でのみ可能であり、商標と意匠の間では不可。
  • 実用新案は出願公開制度がない点が特許との大きな違い。
  • 出願審査請求は、特許出願人以外でも可能であることを押さえておく。