難易度・正答率・重要度
- 難易度: ―(問題不備のため採点対象外)
- 正答率: 100%(全員正解扱い)
- 重要度: ★★★☆☆(試験運営上の注意点として重要)
問題文
小売店舗における在庫管理に関する以下の文章の空欄A~Cに入る用語の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
小売店舗では、在庫を管理するうえで安全在庫を設定している。例えば、発注点を用いた定量発注方式を採用する場合、その発注点は安全在庫に A 中の推定需要量を加算して設定される。また、定期発注方式を採用する場合の発注量は、一定期間の推定需要量から安全在庫量と有効在庫量を減じて算出される。この定期発注方式における安全在庫を計算する際に考慮する需要変動の期間は、B である。
欠品のリスクを小さくするためには、いずれの発注方式においても、安全在庫の安全係数を C 設定する必要がある。
〔解答群〕
出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|運営管理(公式)
解答
- 正解:なし(全員正解扱い)
解説
本問は、問題文の記述に理論的な誤りがあったため、「全員正解(没問)」 となった問題である。
選択肢を選ぶための論理構成自体は成立しているが、前提となる数式説明に不備があったため、その点を中心に解説する。
1. 全員正解となった理由(出題ミスについて)
問題文中の「定期発注方式」の発注量計算に関する説明において、以下の記述に致命的な誤りがあった。
「一定期間の推定需要量から安全在庫量と有効在庫量を減じて算出される。」
本来、定期発注方式における発注量は、以下の式で求められる。
- 正しい計算式: 発注量 = (対象期間の需要予測 + 安全在庫) - 有効在庫
安全在庫は、需要変動に備えて「積み増す(加算する)」べきものである。しかし、問題文ではこれを「減じて(引き算して)」と記述してしまったため、在庫管理の理論として成立しない文章となり、全員正解の措置が取られた。
2. 本来意図されていた正解の導出
出題ミスを除き、空欄A~Cに入るべき用語を理論に基づいて検討すると、以下の通りとなる(意図されていた正解は ア である)。
- 空欄A:定量発注方式の発注点
- 定量発注方式では、発注してから納品されるまでの期間(調達期間)の欠品を防ぐ必要がある。
- 発注点 = 調達期間中の平均需要量 + 安全在庫
- よって、Aには 「調達期間」 が入る。
- 空欄B:定期発注方式の需要変動期間
- 定期発注方式では、発注のタイミングが固定されている(発注間隔)。今回の発注で在庫を補充した後、次の発注を行い、その品物が届くまでの間、欠品を防ぐ必要がある。
- そのため、カバーすべき期間は「調達期間」だけでなく、次の発注までの「発注間隔」も含む必要がある。
- 対象期間 = 調達期間 + 発注間隔
- よって、Bには 「調達期間と発注間隔の合計期間」 が入る。
- 空欄C:安全係数の設定
- 安全在庫は「安全係数 × 需要の標準偏差 × $\sqrt{期間}$」で求められる。
- 欠品リスクを小さくする(サービス率を上げる)ためには、安全在庫を多く持つ必要があるため、安全係数を大きく設定する。
- よって、Cには 「高く」 が入る。
学習のポイント
本問は没問となったが、「定量発注方式」と「定期発注方式」の違い、および**「発注量の計算式」**は、運営管理における最重要項目の一つである。以下のポイントを確実に押さえておく必要がある。
1. 2つの発注方式の比較
試験では、この2つの方式の**「対象品目」と「安全在庫の対象期間」**の違いが頻出である。
| 項目 | 定量発注方式 | 定期発注方式 |
| 主な対象 | B・Cランク品(単価が安い・管理が容易) | Aランク品(単価が高い・重要) |
| 発注時期 | 在庫が発注点を下回った時 | あらかじめ決めた発注間隔ごと |
| 発注量 | 一定(経済的発注量など) | 毎回計算して決定 |
| 安全在庫の期間 | 調達期間 のみ | 調達期間 + 発注間隔 |
2. 定期発注方式の計算式(正しい式)
本問でミスがあった箇所だが、正しい式は2次試験(事例IV)でも使用するため、正確に暗記しておくこと。
- 発注量 = 発注水準(ターゲット在庫) - 現在の有効在庫
- 発注水準 = (調達期間+発注間隔の需要予測) + 安全在庫
つまり、まとめると以下のようになる。
発注量 = (調達期間+発注間隔の需要予測) + 安全在庫 - (手持ち在庫 + 発注残 - 受注残)
「安全在庫は足す」、「有効在庫(手持ち+発注残)は引く」という基本ロジックを間違えないようにすることが重要である。