難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する)
- 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい)
- 重要度:★★★☆☆(頻出ではないが、学習価値が高い)
問題文
喫茶店を立ち上げる予定の甲氏は、中小企業診断士であるあなたに、以下の2つの質問をしている。空欄①と②には、あなたの回答としてa~dの記述のいずれかが入る。各空欄に該当する記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
質問1
甲氏:「喫茶店のある商店街の様子を撮影した動画を作成します。しかし、この商店街で流れている音楽が動画に録り込まれるかも知れません。著作権法上問題がありますか。
例えば、部屋を撮影し、背景に画家の絵が写り込んでいても、著作権侵害にならないことがある、と聞きました。これと同じ趣旨で、動画にたまたま音楽が録り込まれた場合でも、著作権侵害にならないことがありますか。」
あなた:「いわゆる写り込みに関する著作権法第30条の2の規定ですね。①。」
a この規定は動画に録り込まれた音楽には適用されません
b この規定は動画に録り込まれた音楽にも適用され得ます。著作権侵害とはならない要件が規定されているので、それを検討する必要があります
質問2
甲氏:「店舗の内装は斬新なものとしました。壁、天井、机、椅子などを木目調で統一し、配置にも工夫を凝らしています。このような内装はデザインなので意匠登録できますか。また、建物の外観も特徴がありますが、これも意匠登録の対象となりますか。」
あなた:「②。」
c 店舗の内装は意匠登録の対象とはなり得ますが、建物の外観は意匠登録の対象とはなり得ません
d 店舗の内装および建物の外観は意匠登録の対象となり得ます
〔解答群〕
ア:①:a ②:c
イ:①:a ②:d
ウ:①:b ②:c
エ:①:b ②:d
出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:エ
解説
ア:✕
①:a → 誤り。写り込み規定は音楽にも適用され得る。
②:c → 誤り。建物の外観も意匠登録の対象となり得る。
イ:✕
①:a → 誤り。
②:d → 正しいが、①が誤りのため全体として不適切。
ウ:✕
①:b → 正しい。
②:c → 誤り。建物外観も対象となる。
エ:〇
①:b → 写り込み規定は音楽にも適用され得る。要件を満たせば著作権侵害とならない。
②:d → 店舗の内装も建物の外観も意匠登録の対象となり得る。
学習のポイント
- 著作権法の写り込み規定は、映像に偶然入り込んだ音楽にも適用され得る。重要なのは「付随対象著作物」であることや、利用態様が要件を満たすかどうか。
- 意匠法の保護対象は、近年の改正で拡大され、店舗の内装や建物の外観も対象となった。
- 実務では、著作権と意匠権の双方の保護可能性を検討することが重要。