過去問解説(経営法務)_2024年(R6年) 第17問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結)

問題文

特許法上の職務発明に関する記述として、最も適切なものはどれか。

従業者がした職務発明についての特許を受ける権利は、契約、勤務規則などにおいて特に定めがなければ、その発生時から使用者に原始的に帰属する。
従業者がした発明は、その性質上使用者の業務範囲に属する発明であれば、特許法上の「職務発明」に該当する。
従業者は、職務発明について使用者に特許を受ける権利を取得させた場合には、特許法の規定により相当の利益を受ける権利を有するところ、この相当の利益は金銭で直接支払われる必要があり、ストックオプションの付与により相当の利益を与えることはできない。
職務発明については、特許法の明文の規定に基づき、契約、勤務規則その他の定めに基づいて相当の利益を与えることの不合理性の判断に関する考慮事項について、指針(ガイドライン)が公表されている。

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:✕
 職務発明の特許を受ける権利は、原則として発明者である従業者に帰属する。契約や勤務規則等で定めた場合に限り、使用者に最初から帰属させることができる。定めがなければ原始的に使用者に帰属するわけではない。

イ:✕
 職務発明は、使用者の業務範囲に属するだけでなく、「その発明をするに至った行為が従業者の職務に属すること」が要件。業務範囲のみで判断するのは不十分。

ウ:✕
 相当の利益は金銭に限られず、ストックオプションやその他の経済的利益で与えることも可能。金銭のみとするのは誤り。

エ:〇
 特許法には、職務発明に関する相当の利益の不合理性判断の考慮事項について、指針(ガイドライン)を公表する旨の規定がある。これに基づき、特許庁がガイドラインを策定している。


学習のポイント

  • 職務発明の帰属:原則は従業者に帰属。契約・勤務規則等で使用者帰属とすることが可能。
  • 職務発明の要件:業務範囲+職務上の行為であること。
  • 相当の利益の形態:金銭に限らず、ストックオプション等も含まれる。
  • ガイドラインの存在:相当の利益の不合理性判断に関する考慮事項を明示した指針が特許庁から公表されている。