過去問解説(運営管理)_2020年(令和2年) 第16問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(ラインバランシングとボトルネック)
  • 正答率: ★★☆☆☆(並行作業と前工程バッファの考え方が鍵)
  • 重要度: ★★★☆☆(工程設計の基本)

問題文

ある製品の梱包工程の作業内容は下表に示すとおりである。
この工程を3名の作業者で分担して作業を行う案として、単位時間当たりの生産量が最も多いものを下記の解答群から選べ。
ただし、各作業者間の移動・搬送の時間は無視でき、スペースの制約は考えない。

〔解答群〕

作業者①がA・B・C・D、作業者②がE・F、作業者③がGを担当する。
作業者①がA・B・C・Dを担当し、作業者②がEを実施したのち、作業者②と③が組作業によってFを実施(作業時間が25DMになる)したのち、作業者③がGを担当する。
作業者①がB・C・D、作業者②がE・F、作業者③がA・Gを担当する。ただし、あらかじめいくつかの箱を組み立てておく。
作業者①がC・D・E、作業者②がF、作業者③がA・B・Gを担当する。ただし、あらかじめいくつかの箱を組み立てて、品物にシールを貼っておく。

出典: 中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|運営管理(PDF)

解答

  • 正解:エ

解説

判断の枠組み

  • 生産量(スループット)は「最も遅い担当者のサイクルタイム」で決まる。
  • 各案で、1ユニット当たりに各担当者が処理する合計時間(DM)を算出し、その最大値が小さい案ほど生産量が多い。
  • 「あらかじめ作っておく」前工程は、立ち上がり用のバッファを持つことを意味し、継続生産時は当該担当者の負荷を必要に応じて分散可能。

案ごとのサイクルタイム

  • ア:A+B+C+D(65DM)、E+F(60DM)、G(25DM) → ボトルネック65DM
  • イ:①A+B+C+D(65DM)、②E(10DM)→Fを②③で25DM、③G(25DM)
  • Fは②③で同時に従事するため、②③はFとGを並列できない。③はF25+G25の直列稼働が必要局面が生じ、いずれにせよボトルネックは65DM(①)。
  • ウ:①B+C+D(55DM)、②E+F(60DM)、③A+G(35DM) → ボトルネック60DM
  • 「箱の事前組立て(Aの前倒し)」は立ち上がり改善には有効だが、継続生産ではAの労働が必要になり、②の60DMが支配的。
  • エ:①C+D+E(55DM)、②F(50DM)、③A+B+G(45DM) → ボトルネック55DM
  • A・Bを事前に仕込んでおくため、立ち上がり時の滞留を抑えつつ、継続生産でも③はG中心(実質45DM)で回せる。3者のバランスが最も良く、最大55DMが最小

結論

  • 4案のボトルネック比較:
  • ア:65DM/イ:65DM/ウ:60DM/エ:55DM(最小)
  • よって、単位時間当たりの生産量が最も多いのは「エ」。

学習のポイント

  • ラインバランシング:担当者ごとの作業束の合計時間を均すと、スループットが最大化される。
  • バッファの活用:前工程の事前仕込みは立ち上がりと変動吸収に有効。ただし継続生産のボトルネックは「最大担当時間」で決まる。
  • 優先関係の尊重:A・B→C→D→E→F→Gの順序を崩さず、どこで並行化するかが鍵。