難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★☆☆☆(用語の正確な対応)
- 正答率:★★★☆☆(主要方式の特徴を押さえれば容易)
- 重要度:★★★☆☆(可用性・性能設計の基礎)
問題文
サーバへのアクセス集中はサーバのレスポンス低下を招き、著しく利便性を損なう可能性がある。そこで、ロードバランサ(負荷分散装置)を設置するなどして、適切に負荷を分散させる必要がある。
負荷分散に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
DNSラウンドロビン方式とは、ロードバランサがDNS(Domain Name Server)の機能を持つことによってクライアントのリクエストを振り分ける方式のことである。
イ
DSR(Direct Server Return)とは、クライアントからサーバへのリクエスト時にはロードバランサを経由させるが、サーバからクライアントへのレスポンス時にはロードバランサを経由せずに、クライアントにパケットを直接送る仕組みのことである。
ウ
アダプティブ方式とは、事前に設定された割り当て比率に応じて、クライアントからのリクエストを振り分ける方式のことである。
エ
最速応答時間方式とは、接続数が最も少ないサーバに、クライアントからのリクエストを振り分ける方式のことである。
オ
マルチホーミングとは、複数のISP(Internet Service Provider)と契約してインターネット接続回線を複数持つことであり、アクセスが集中してある回線で通信障害が発生したときに、ロードバランサが他の回線に切り替える仕組みのことである。
出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経営情報システム(PDF)
解答
- 正解:イ(DSR:リクエストはLB経由、レスポンスはサーバから直接返す方式)
解説
- ア:×
DNSラウンドロビンはDNSサーバが複数IPを順番に返すことで分散する仕組み。ロードバランサがDNS機能を持つ前提ではない(LB不在でも可能)。 - イ:〇
DSR(Direct Server Return)は、受信リクエストのみロードバランサ経由、応答はリアルサーバから直接クライアントへ返すため、LBの戻りトラフィック負荷を低減できる。 - ウ:×
固定の割り当て比率で振り分けるのは「重み付きラウンドロビン」などの静的方式。アダプティブ方式は応答時間や接続数など動的指標に応じて振り分けを調整する。 - エ:×
最速応答時間方式は「現在もっとも応答が速いサーバ」を選ぶ方式。接続数最少は別の方式(最小接続数方式)。 - オ:×
マルチホーミングは複数ISP接続の冗長化構成を指す。回線切替はルータやBGP等の領域で行われ、ロードバランサ固有の仕組みではない。
学習のポイント
- 静的 vs 動的:重み付きラウンドロビンは静的、アダプティブや最速応答は動的指標で配分。
- DSRの利点:戻りトラフィックをLBに通さないためスケールしやすいが、ネットワーク設計(ARP/同一セグメントなど)に注意が必要。
- 方式の区別:DNSラウンドロビン(名前解決レイヤ)、LBの最小接続数・最速応答(L4/L7)、回線冗長のマルチホーミング(WAN/ルーティング)。