難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★☆☆(統計的思考力)
- 正答率:★★★☆☆(誤解しやすい)
- 重要度:★★★☆☆(実務判断に直結)
問題文
以下に示す4つのデータ分析の事例における調査データや統計量の解釈は統計の視点から見て正しいものであるか。それぞれの事例に関する正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
事例1
ある商品について売上高と気温の相関係数を計算すると0.855であった。相関係数の値が正で値も大きいので、売上高を決める原因は気温である。
事例2
ある企業の従業員の年収の平均値を計算すると582万円であった。この企業の従業員である私の年収は560万円である。私の年収は平均値を下回っているので、従業員の年収を高い順に並べた時、下位半分に位置する。
事例3
A店舗の100日間の売上高の平均値は40万円、標準偏差は10万円であった。B店舗の同じ期間の売上高の平均値は100万円、標準偏差は20万円であった。B店舗の標準偏差はA店舗の標準偏差よりも大きいので、B店舗の方が売上高のばらつきが大きい。
事例4
あるレストランは男性からも女性からも評判の良い店である。既存のメニューを改善する目的で新メニューを開発した。新メニューを評価するために男女各50人に、既存メニューと新メニューに対する評価(「良い」か「悪い」か)を調査した。下表がその結果である。この調査結果によると、新メニューの方が良いと回答した割合が5ポイント高いので、既存メニューを新メニューに置き換えれば売上高は伸びる。

〔解答群〕
ア
事例1:正 事例2:正 事例3:正 事例4:正
イ
事例1:正 事例2:誤 事例3:誤 事例4:正
ウ
事例1:誤 事例2:正 事例3:正 事例4:誤
エ
事例1:誤 事例2:誤 事例3:誤 事例4:誤
出典: 中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|経営情報システム(PDF)
解答
- 正解:エ(事例1:×/事例2:×/事例3:×/事例4:×)
解説(事例ごとの評価)
- 事例1:×
相関係数が高くても「因果関係」は証明できない。相関はあくまで関係性の強さであり、原因とは限らない。 - 事例2:×
平均値を下回っていても中央値より上かもしれない。平均値と順位は一致しない。分布の偏り次第。 - 事例3:×
標準偏差だけではばらつきの比較は不十分。平均値が異なるため、変動係数(標準偏差÷平均)で比較すべき。 - 事例4:×
単純な割合差では有意性は判断できない。統計的検定(カイ二乗検定など)で有意差を確認する必要がある。
学習のポイント
- 相関と因果の違い: 相関が高くても因果関係とは限らない。介在変数の可能性も。
- 平均と中央値: 平均値を下回る=下位半分とは限らない。分布の形状に注意。
- ばらつき比較: 平均値が異なる場合は変動係数で比較する。
- 有意差検定: 見かけの差が偶然かどうかは統計的検定で判断する。