過去問解説(経済学・経済政策)_2024年(R6年) 第18問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(外部不経済と社会的最適)
  • 正答率: ★★★☆☆(図形の対応関係)
  • 重要度: ★★★☆☆(福祉分析の基礎)

問題文

下図は、ある観光資源に関する消費の外部不経済を示している。観光客の増加に伴う交通渋滞やゴミの投棄など、観光資源の消費は近隣の環境や住民に無視できない損害を生じさせる場合がある。観光資源に対する消費者(観光客)の限界価値曲線はD0であるが、第三者への損害を考慮した場合の社会的限界価値曲線はD1である。

この図に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。

完全競争市場での均衡下で生じる死荷重は、四角形GFHEである。
完全競争市場での均衡下での外部不経済は、四角形CAHEである。
社会的に最適な消費が実現したときの社会的余剰は、四角形CBFGである。
社会的に最適な消費が実現したときの外部不経済は、四角形CAFGである。

〔解答群〕

aとb
aとd
bとc
bとd

出典: 中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解: エ(bとd)

解説

  • a:×
    完全競争市場の均衡下では需要D0と供給Sの交点の数量で取引が行われ、死荷重は「過剰消費によって失われた余剰」の三角形で表される。四角形GFHEではなく、一般に三角形EHFが死荷重となる。
  • b:〇
    外部不経済は、私的に評価された限界価値(D0)と社会的限界価値(D1)の差による社会的費用の累積で表される。完全競争の数量では、この外部費用が四角形CAHEに相当する。
  • c:×
    社会的最適はD1と供給Sの交点(外部影響を織り込んだ最適数量)。そのときの社会的総余剰は「需要D1と供給Sで囲まれる領域」となるため、四角形CBFGではない。四角形CAFGは消費者余剰に見える部分だが、外部不経済として差し引かれ、社会的総余剰には含まれない。
  • d:〇
    社会的最適が実現したときの外部不経済は、外部影響の評価分(D0とD1の差)に対応し、四角形CAFGで表される。

学習のポイント

  • 外部不経済の基本:
    ラベル: 私的限界費用=PMC、社会的限界費用=SMC。外部不経済があるとPMC<SMC。
    ・この問題は「需要側に2本(D0とD1)」で外部影響を表しているが、本質はPMCとSMCの差をD0−D1の差で表現したものと同じ。
  • 市場均衡と社会的最適:
    完全競争: D0とSの交点数量(過剰消費)により死荷重が発生。外部不経済の費用は四角形CAHE。
    社会的最適: D1とSの交点数量。四角形CAFGは外部不経済として控除対象となり、死荷重は生じない。
  • 死荷重の見方:
    ・規制なしの完全競争では、外部費用を無視した過剰消費により三角形EHFが死荷重。
    ・政策介入(ピグー税、補助金、排出権取引、コースの定理など)で、社会的最適量へ誘導できる。
  • 図を読むコツ:
    ・D0(私的限界価値)とD1(社会的限界価値)の差が外部費用。
    ・完全競争の数量では、その差の積み重ねが四角形CAHE。
    ・社会的最適では、外部費用四角形CAFGを差し引いて評価するため、社会的総余剰は最大化される。