難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★★☆☆(労働市場の均衡と余剰)
- 正答率: ★★★☆☆(図の読み取りと応用)
- 重要度: ★★★☆☆(ミクロ労働経済の基礎)
問題文
労働市場を示した下図において、Dは労働需要曲線、Sは労働供給曲線であり、点Eで均衡し、そのときの均衡賃金率はW0、均衡労働量はN0である。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問1)
均衡賃金率の上昇を引き起こす要因の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a
労働と補完的な生産技術水準の向上
b
雇用環境の改善に伴う労働の限界不効用の低下
c
企業による資本投入量の増加
d
出生率の上昇に伴う生産年齢人口の増加
〔解答群〕
ア
aとc
イ
aとd
ウ
bとc
エ
bとd
オ
cとd
(設問2)
この図に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。
a
労働者に帰属する余剰は、三角形AW0Eである。
b
労働者の機会費用は、四角形AON0Eである。
c
企業の労働費用は、四角形W0ON0Eである。
d
企業に帰属する余剰は、三角形AW0Eである。
〔解答群〕
ア
aとb
イ
aとc
ウ
bとc
エ
bとd
オ
cとd
出典: 中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)
解答
- 設問1: ア(aとc)
- 設問2: オ(cとd)
解説(設問1:均衡賃金率の上昇要因)
- a:〇(労働需要シフト右)
労働と補完的な生産技術が向上すると、労働の限界生産力が上がり需要曲線Dが右方へ。均衡賃金率は上昇。 - b:×(労働供給シフト右)
労働の限界不効用が低下すると供給Sが右方へ。賃金は低下圧力。 - c:〇(労働需要シフト右)
資本投入量の増加は労働と補完的に働き労働の限界生産力を高めるため、Dが右方へ。賃金は上昇。 - d:×(労働供給シフト右)
生産年齢人口の増加は供給Sを右方へ。均衡賃金率は低下圧力。
解説(設問2:余剰・費用の領域)
- a:×(労働者余剰の形状)
労働者余剰は供給曲線Sの上、賃金線W0の下、0からN0までの面積。三角形AW0Eのみではなく、通常は多角形となるため不適切。 - b:×(機会費用の領域)
労働者の機会費用は供給曲線下の面積。四角形AON0Eでの矩形表現は不正確。 - c:〇(企業の総労働費用)
企業の労働費用は、賃金W0で支払う総額=W0×N0。図では四角形W0ON0Eが該当。 - d:〇(企業余剰=労働需要の上の面積)
企業に帰属する余剰(雇用側の超過利益)は、労働需要曲線Dの上、賃金線W0の下、0からN0の間の面積。図示で三角形AW0Eとされている領域に対応。
学習のポイント
- 均衡賃金の直感:
・需要側(D右)を押し上げる要因は賃金上昇、供給側(S右)は賃金低下。
・技術進歩や資本増加は一般に労働の限界生産力を高め、賃金を引き上げる。 - 賃金と費用・余剰の区別:
・企業の労働費用=W0×N0(長方形)。
・労働者余剰=W0と供給曲線の間の面積。
・企業余剰(雇用側余剰)=需要曲線とW0の間の面積。 - 図の読み取りのコツ:
・面積の境界線が何を意味するか(需要=限界価値、供給=機会費用、水平線=賃金)。
・「四角形」か「三角形」かは、境界が直線か曲線かで変わるため、名称に引っ張られず領域定義で判断する。