過去問解説(経済学・経済政策)_2022年(R4年) 第7問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(古典派モデルの理解)
  • 正答率: ★★★☆☆(図と理論の対応)
  • 重要度: ★★★☆☆(政策効果と供給分析)

問題文

下図には、右下がりの総需要曲線 AD と垂直な総供給曲線 AS が描かれている。YF は完全雇用 GDP である。この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問1)

古典派モデルにおける総需要曲線 AD と総供給曲線 AS に関する記述として、最も適切なものはどれか。

利子率の低下は貨幣需要を増加させる。したがって、物価水準の上昇は、実質利子率の低下による実質投資支出の増加をもたらし、総需要を増加させる。
利子率は貨幣需要に影響を与えない。したがって、物価水準の上昇は、実質利子率の低下による実質投資支出の増加を通じて、総需要を増加させる。
利子率は貨幣需要に影響を与えない。したがって、物価水準の上昇は、実質利子率を低下させるが、実質投資支出に影響を与えず、総需要も変化しない。
労働市場においては実質賃金率の調整によって完全雇用が実現する。したがって、物価水準が上昇すると、実質賃金率の下落による労働需要の増加を通じて総供給が増加する。
労働市場は完全雇用水準で均衡している。したがって、物価水準が変化しても、名目賃金率が同率で変化するので、雇用量が変化することはなく、生産量も完全雇用水準で維持されたままであり、総供給も変化しない。

(設問2)

財政・金融政策の効果に関する記述として、最も適切なものはどれか。

政府支出の増加は、総需要を変化させないが、総供給を増加させる。
政府支出の増加は、物価水準の下落を通じて、実質 GDP を増加させる。
名目貨幣供給の増加は、物価と名目賃金率を同率で引き上げ、実質 GDP には影響を与えない。
名目貨幣供給の増加は、実質貨幣供給を一定に保つように物価を引き上げるとともに、実質 GDP を増加させる。

出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 設問1:オ(a:×/b:×/c:×/d:×/e:〇)
  • 設問2:ウ

解説(設問1)

  • 古典派モデルでは、労働市場は完全雇用で均衡しており、AS(総供給)は垂直。
  • 名目賃金率と物価水準が同率で変化するため、実質賃金率は一定 → 雇用量も一定 → 生産量も一定。
  • よって、物価水準が変化しても総供給は変化しない。

が正しい。


解説(設問2)

  • 古典派では、貨幣供給の増加は物価水準と名目賃金率を同率で引き上げる。
  • 実質賃金率や実質GDPには影響を与えない(中立性)。
  • よって、名目貨幣供給の増加は実質GDPに影響を与えない。

が正しい。


学習のポイント

  • 古典派モデルの特徴: 完全雇用、AS垂直、貨幣の中立性。
  • 名目変数と実質変数の分離: 名目貨幣供給の変化は物価に影響するが、実質GDPには影響しない。
  • 政策効果の違い: ケインズ派では財政・金融政策が実質GDPに影響するが、古典派では物価のみが調整される。