過去問解説(経済学・経済政策)_2022年(R4年) 第20問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(ナッシュ均衡と最適反応)
  • 正答率: ★★★★☆(利得表の読み取り)
  • 重要度: ★★★☆☆(ゲーム理論の基礎)

問題文

世界経済が低迷する中、国際的な政策協調が必要とされている。
いま、隣り合うA国とB国が「環境保護」と「経済成長」を目的とする政策を選択する。下表は、両国の利得表であり、カッコ内の左側がA国の利得、右側がB国の利得を示している。
このゲームに関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

このゲームでは、A国が「環境保護」を優先させる政策を選べば、B国は「経済成長」を優先させる政策を選ぶ方がよい。
このゲームでは、両国が協調して「環境保護」を優先させる政策を選べば、利得をさらに高めるために、戦略を変える必要はない。
このゲームにおけるA国の最適反応は、「環境保護」を優先させる政策を選ぶ場合である。
このゲームのナッシュ均衡は、両国が「環境保護」を優先させる政策をとる組み合わせと、両国が「経済成長」を優先させる政策をとる組み合わせの2つである。

出典: 中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解:ア

解説

  • 最適反応の確認(B国):
    A国が「環境保護」を選ぶと、B国の利得は「環境保護=500」「経済成長=1000」。B国は「経済成長」を選ぶのが最適。アの記述はこれに一致。
  • イが誤りの理由:
    両国が「環境保護」を選ぶと(500, 500)、各国は単独で「経済成長」へ変更することで利得を1000へ改善できるため、戦略を変える誘因がある(協調はナッシュ均衡ではない)。
  • ウが誤りの理由(A国の最適反応):
    B国が「環境保護」のとき、A国は「経済成長」を選ぶ方が高利得(1000>500)。B国が「経済成長」のときも、A国は「経済成長」(0>-500)。A国の最適反応は常に「経済成長」。
  • エが誤りの理由(ナッシュ均衡の数):
    「経済成長・経済成長」(0,0)は、どちらも一方的な逸脱で利得が悪化するためナッシュ均衡。対して「環境保護・環境保護」(500,500)は、各国が「経済成長」に逸脱して利得を1000にできるため均衡ではない。均衡は1つのみ。

学習のポイント

  • ナッシュ均衡の判定: 相手の戦略を固定したとき、各自の最適反応が一致する組み合わせ。
  • 支配戦略の確認: 両国とも「経済成長」が支配戦略(相手に関わらず最適)。結果として「成長・成長」が均衡。
  • 協調の脆弱性: 共同で高利得(500,500)があっても、単独逸脱の誘因が強いと均衡にならない(囚人のジレンマ型の構造)。