難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(消費仮説の理解)
- 正答率: ★★★☆☆(理論の混同に注意)
- 重要度: ★★★☆☆(政策効果の分析)
問題文
コロナ禍で落ち込んだ経済を支えるための対策のひとつに、個人や世帯に対する一時金の給付がある。
この一時金の経済効果に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。
a
恒常所得仮説によれば、今期の消費は今期の所得によって決定される。従って、緊急事態宣言の発出によって飲食店の営業を停止しても、一時金の給付によって巣ごもり消費が喚起され、経済全体の消費は増加すると考えられる。
b
絶対所得仮説によれば、生涯の所得が生涯の消費を決定する。従って、一時金の給付が将来の増税を予想させるとしても、新しい生活様式への対応を通じて、経済全体の消費は増加すると考えられる。
c
低所得者ほど限界消費性向が高い傾向にあるとすれば、一時金の給付対象に所得制限を設けることは、より効果的に消費を支えると考えられる。
d
不要不急の財に関する需要の所得弾力性が高い傾向にあるとすれば、一時金の給付が消費を増やす効果は、不要不急の消費ほど大きくなると考えられる。
〔解答群〕
ア
aとb
イ
aとbとc
ウ
bとc
エ
bとcとd
オ
cとd
出典: 中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)
解答
- 正解:オ(cとd)
解説
- a:×
「恒常所得仮説」は、消費は一時的な所得変動ではなく恒常的な所得に依存するとする。したがって一時金の給付による消費増加効果は限定的であり、記述は誤り。 - b:×
「絶対所得仮説」は、消費は現在の所得水準に依存するとする。生涯所得に依存するのは「ライフサイクル仮説」や「恒常所得仮説」であり、記述は誤り。 - c:〇
限界消費性向は低所得者ほど高い傾向がある。所得制限を設けて低所得者に重点的に給付すれば、消費喚起効果は大きくなる。 - d:〇
所得弾力性が高い財(不要不急の財)は、所得増加に対して需要が大きく伸びる。したがって一時金給付による消費増加効果は不要不急財でより大きい。
学習のポイント
- 恒常所得仮説: 一時的所得変動の影響は小さい。
- 絶対所得仮説: 消費は現在の所得に依存。
- 限界消費性向: 低所得者ほど高い → 給付対象を絞ると効果的。
- 所得弾力性: 不要不急財は所得増加に敏感 → 給付効果が大きい。