過去問解説(経済学・経済政策)_2021年(R3年) 第7問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(貨幣乗数の直感)
  • 正答率: ★★★★☆(定番論点)
  • 重要度: ★★★☆☆(ベースとストックの関係)

問題文

貨幣乗数に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。

マネー・ストックが1単位増えると、マネタリー・ベースはその貨幣乗数倍だけ増加する。
金融機関の準備率が高くなると、貨幣乗数は小さくなる。
現金よりも預金で通貨を保有する傾向が高まると、貨幣乗数は小さくなり、マネタリー・ベースの増加に伴うマネー・ストックの増加の程度も小さくなる。
中央銀行は、マネタリー・ベースのコントロールを通じて、マネー・ストックを調整する。

〔解答群〕

aとb
aとc
bとc
bとd
cとd

出典:中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解: エ(bとd)

解説

  • a:×
    ポイント:
    マネー・ストック=貨幣乗数×マネタリー・ベース。ストックが1増えるために必要なベースの増加は「1÷貨幣乗数」であり、「貨幣乗数倍」ではない。
  • b:〇
    理由: 準備率が高いほど預金から貸し出せる割合が減り、信用創造が縮小するため貨幣乗数は小さくなる。
  • c:×
    理由: 現金より預金で保有する傾向が強まる=現金比率の低下は、銀行を介した信用創造を促し、貨幣乗数はむしろ大きくなる。
  • d:〇
    理由: 中央銀行は公開市場操作などでマネタリー・ベースをコントロールし、その波及を通じてマネー・ストックを調整する。

学習のポイント

  • 基本関係式: マネー・ストック=貨幣乗数×マネタリー・ベース。
  • 乗数を縮小させる要因: 高い準備率、現金保有比率の高さ。
  • 乗数を拡大させる要因: 低い準備率、預金志向(現金比率低下)。
  • 政策含意: ベース操作の効果は乗数の大きさに依存する。