過去問解説(経済学・経済政策)_2019年(R1年) 第4問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(消費仮説の比較)
  • 正答率: ★★★★☆(定義理解で判定可能)
  • 重要度: ★★★☆☆(政策と家計行動のつながり)

問題文

消費がどのようにして決まるかを理解することは、経済政策の手段を検討する際にも、また、景気動向を予測する上でも重要である。一般に、消費の決定に所得が影響すると考えられているが、具体的な影響の仕方についてはいくつかの考え方がある。

消費の決定に関する記述として、最も適切なものはどれか。

〔解答群〕

恒常所得仮説では、一時金の支給によって所得が増加しても、消費は増加しない。
絶対所得仮説によるケインズ型消費関数では、減税によって可処分所得が増加しても、消費は増加しない。
絶対所得仮説によるケインズ型消費関数では、定期給与のベースアップによって所得が増加しても、消費は増加しない。
ライフサイクル仮説では、定期昇給によって所得が増加しても、消費は増加しない。

出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解:ア

解説

  • ア:〇
    恒常所得仮説では、家計は恒常(永久)所得に基づき平滑化して消費を決めるため、一時金のような「一時的所得増」は消費にほとんど影響しない(増加しない/ごく小さい)。
  • イ:×
    ケインズの絶対所得仮説(単純消費関数 (C=a+bY_d) のイメージ)では、可処分所得 (Y_d) が増えれば限界消費性向 (b>0) により消費は増加する。減税→可処分所得増→消費増。
  • ウ:×
    絶対所得仮説では、定期給与のベースアップで所得が増えれば、消費も増加する(限界消費性向が正)。「増加しない」は誤り。
  • エ:×
    ライフサイクル仮説では、生涯所得(期待)に応じて消費を平滑化するため、定期昇給のような恒常所得の上方改訂は消費を引き上げる方向に働く。よって「増加しない」は誤り。

学習のポイント

  • 恒常 vs 一時的所得: 恒常所得仮説は一時的ショックに鈍感、恒常的変化に敏感。
  • ケインズ型消費関数: 可処分所得の増加は消費増((b>0))。政策の短期効果を把握しやすい。
  • ライフサイクル/PIH: 生涯資源に基づく平滑化。恒常的所得の変化は消費に反映されるが、一時金は多くが貯蓄へ。