過去問解説(経済学・経済政策)_2019年(R1年) 第8問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(流動性のわなと政策効果)
  • 正答率: ★★★☆☆(IS-LMとAD-ASの連携理解)
  • 重要度: ★★★★☆(ゼロ金利下の政策判断)

問題文

総需要-総供給分析の枠組みで、財政・金融政策の効果と有効性を考える。下記の設問に答えよ。

(設問1)

「流動性のわな」の状況下にあるときのLM曲線は、下図のように水平になる。このときの総需要曲線に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

物価が下落しても、利子率が低下しないため、投資支出は不変である。したがって、総需要曲線は垂直になる。
物価が下落すると、利子率が低下して、投資支出が増加する。したがって、総需要曲線は右下がりになる。
物価が下落すると、利子率は低下しないが、投資支出が増加する。したがって、総需要曲線は右下がりになる。
物価が下落すると、利子率は低下するが、投資支出は不変である。したがって、総需要曲線は垂直になる。

(設問2)

「流動性のわな」の状況下における財政政策と金融政策の効果と有効性に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

政府支出を増加させても、クラウディング・アウトによって総需要は不変である。したがって、物価水準も実質GDPも当初の水準から変化しない。
政府支出の増加は、総需要を拡大させる。その結果、物価水準が上昇し、実質GDPも増加する。
名目貨幣供給の増加は、総需要を変化させない。したがって、物価水準も実質GDPも当初の水準から変化しない。
名目貨幣供給の増加は、総需要を拡大させる。その結果、物価水準が上昇し、実質GDPも増加する。

〔解答群〕

aとc
aとd
bとc
bとd

出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 設問1:ア
  • 設問2:ウ(bとc)

解説

設問1:総需要曲線の形状(流動性のわな)

  • 流動性のわなとは、利子率が極端に低くなり、貨幣需要が無限に利子率に反応しなくなる状態。
  • このとき、LM曲線は水平になり、利子率は一定で変化しない。
  • 物価が下落しても、利子率が下がらないため、投資支出は増えず、総需要は変化しない。
  • よって、総需要曲線は垂直になる。

→ 正解:


設問2:政策の有効性(流動性のわな)

  • a:×
    流動性のわなでは利子率が一定なので、クラウディング・アウトは起こらず、財政政策は有効。
  • b:〇
    政府支出の増加はIS曲線を右にシフトさせ、総需要が拡大。物価とGDPが上昇する。
  • c:〇
    金融政策(名目貨幣供給の増加)は利子率に影響を与えられず、LM曲線が水平なため、総需要は変化しない。
  • d:×
    金融政策は無効。名目貨幣供給を増やしても、利子率が変わらず、投資も変わらない。

→ 正解:ウ(bとc)


学習のポイント

  • 流動性のわな: 金融政策が効かない状況。財政政策が有効。
  • LM曲線が水平: 利子率が一定 → 投資が利子率に反応しない。
  • 総需要曲線が垂直: 物価が変わっても利子率が変わらず、需要が一定。