過去問解説(経済学・経済政策)_2019年(R1年) 第18問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(保護政策の余剰分析)
  • 正答率: ★★★☆☆(数量の読み取りと死荷重比較)
  • 重要度: ★★★★☆(関税vs補助金の政策評価)

問題文

下図は、産業保護という観点から、輸入関税と生産補助金の効果を描いたものである。輸入関税をかける場合、この財の国内価格は Pf から Pd へと上昇する。また、生産補助金を交付する場合、この財の供給曲線は S0 から S1 へとシフトする。この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問1)

輸入関税をかけた場合、また、生産補助金を交付した場合の需要量と供給量に関する記述として、最も適切なものはどれか。

輸入関税をかけた場合の需要量は Q1 である。
輸入関税をかけた場合の供給量は Q2 である。
生産補助金を交付した場合の需要量は Q3 である。
生産補助金を交付した場合の供給量は Q4 である。

(設問2)

輸入関税と生産補助金による社会的余剰の比較に関する記述として、最も適切なものはどれか。

□BCJK の分だけ、生産補助金の方が輸入関税よりも損失が少なく、産業保護の政策としてより効果的である。
□FGKH の分だけ、輸入関税の方が生産補助金よりも損失が少なく、産業保護の政策としてより効果的である。
△FIH と △GJK の分だけ、輸入関税の方が生産補助金よりも損失が少なく、産業保護の政策としてより効果的である。
△FIH の分だけ、生産補助金の方が輸入関税よりも損失が少なく、産業保護の政策としてより効果的である。

出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 設問1:エ
  • 設問2:エ

解説

設問1:数量の読み取り

  • ア:×
    関税で価格が Pf→Pd に上昇すると、需要量は需要曲線上で減少するが、Q1とは対応しない(図ではPdでの需要は別位置)。
  • イ:×
    関税導入後の国内供給量はPdでS0上の数量に増えるが、Q2ではない。
  • ウ:×
    補助金交付で供給が S0→S1 に右方シフトしても、価格はPfで据え置きの前提。需要量はPfでの需要に対応するが、Q3ではない。
  • エ:〇
    補助金による供給曲線の右方シフトで、Pfにおける国内供給量は増加し、図示数量はQ4となる。

設問2:社会的余剰(死荷重損失)の比較

  • ア:×
    □BCJK を根拠に補助金優位とする記述は図の損失領域と一致しない。
  • イ:×
    □FGKH を根拠に関税優位とするのは誤り。
  • ウ:×
    △FIH と △GJK の合計で関税が損失少とするのは誤り。
  • エ:〇
    △FIH の分だけ、補助金の方が関税より損失が小さい。補助金は国内生産量を増やしつつ、国際価格Pfを維持するため、関税のような価格上昇による消費縮小の損失を避けられる。

学習のポイント

  • 関税の効果: 国内価格上昇→需要減・供給増→輸入減。消費者余剰の減少と死荷重損失が発生。
  • 補助金の効果: 供給曲線の右方シフト→国内供給増・価格据え置き(Pf)→消費者余剰の毀損が小さい。
  • 政策比較: 同じ産業保護目的でも、価格を上げる関税は消費縮小の損失が大きく、供給側を支える補助金の方が死荷重が小さくなる傾向。