過去問解説(経済学・経済政策)_2019年(R1年) 第19問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(モラルハザードと逆選択の区別)
  • 正答率: ★★★★☆(典型事例の当てはめ)
  • 重要度: ★★★☆☆(契約設計・インセンティブ設計)

問題文

情報の非対称性がもたらすモラルハザードに関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

雇用主が従業員の働き具合を監視できないために従業員がまじめに働かないとき、この職場にはモラルハザードが生じている。
失業給付を増加させることは、失業による従業員の所得低下のリスクを減らすことを通じて、モラルハザードを減らす効果を期待できる。
食堂で調理の過程を客に見せることには、料理人が手を抜くリスクを減らすことを通じて、モラルハザードを減らす効果を期待できる。
退職金の上乗せによる早期退職の促進が優秀な従業員を先に退職させるとき、この職場にはモラルハザードが生じている。

〔解答群〕

aとb
aとc
bとd
cとd

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解:イ(aとc)

解説

  • a:〇
    監視困難により従業員が努力を下げるのは、隠れた行為(hidden action)によるモラルハザードの典型。
  • b:×
    失業給付の増額は、失業状態の魅力を高めて就業インセンティブを下げる方向に働き、モラルハザードをむしろ悪化させやすい。
  • c:〇
    調理過程の可視化はモニタリング強化により「手抜き」という隠れた行為の発生を抑制し、モラルハザードを減らす。
  • d:×
    優秀な人ほど先に退職するのは「逆選択(adverse selection)」の問題であり、モラルハザード(隠れた行為)ではない。

学習のポイント

  • モラルハザード: 取引後の隠れた行為(努力・注意の水準など)が情報の非対称性で歪む問題。監視や成果連動型報酬で抑制。
  • 逆選択: 取引前の隠れた特性(能力・質)の情報非対称に起因。スクリーニングやシグナリングで緩和。