過去問解説(経済学・経済政策)_2019年(R1年) 第20問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(コブ=ダグラスの性質)
  • 正答率: ★★★★☆(定義の整理)
  • 重要度: ★★★☆☆(成長会計の基礎)

問題文

規模に関する収穫一定を想定するとき、経済学では、この性質を満たすものとして以下のようなコブ=ダグラス型生産関数をしばしば利用する。この生産関数に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

Y = A × N^α × K^(1−α)
(Y:生産量、N:労働投入量、K:資本投入量、A:技術水準、0<α<1、A>0)

〔解答群〕

αは、労働の弾性率を意味する。
資本投入量と労働投入量がいずれも2倍になると、生産量も2倍になる。
労働投入量が増加すると、労働と資本の代替の弾性は減退する。
労働の成長率と資本の成長率の和は、「全要素生産性」と呼ばれる。

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解:イ

解説

  • ア:×
    αは「労働の産出弾性(労働比率)」であり、投入を何%増やせば産出が何%増えるかを表す係数。選択肢は「1−αが労働分配率」と誤っており、本来はαが労働、1−αが資本に対応する。
  • イ:〇
    資本と労働をともに2倍にすると、Yも2倍になる。これは「規模に関する収穫一定(CRS)」の性質で、同率で投入をスケールすると産出も同率でスケールする。
  • ウ:×
    コブ=ダグラスでは労働と資本の代替の弾力性は常に一定(1)で、投入量に依存して逓減したり増加したりしない。
  • エ:×
    全要素生産性(TFP)はAに対応する。成長会計では「産出の成長率=TFPの成長率+α×労働の成長率+(1−α)×資本の成長率」であり、労働と資本の成長率の“和”がTFPではない。

学習のポイント

  • CRSの意味: すべての投入を同率で増やすと、産出も同率で増える。
  • 係数の解釈: αは労働寄与、1−αは資本寄与。競争的な条件下では分配率とも一致しやすい。
  • 代替の弾力性: コブ=ダグラスは常に1で一定(投入量によらない)。
  • 成長会計: 産出の伸びをTFPと各投入の寄与に分解して考える。