過去問解説(経営法務)_2023年(R5年) 第4問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する。)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい。)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)

問題文

監査役会設置会社における監査役に関する記述として、最も適切なものはどれか。

監査役の報酬は、その額を定款で定めていないときは、取締役会の決議で定めなければならない。
監査役は、当該会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
監査役は、当該会社の取締役・使用人、子会社の取締役を兼ねることができないが、子会社の使用人については兼ねることができる。
監査役は、取締役が法令に違反する行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときであっても、監査役会の決議を経なければ、当該行為の差止めを請求することができない。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:✕
 監査役の報酬は、定款に定めがない場合、株主総会の決議によって定める必要がある。取締役会の決議では定めることができないため、本肢は誤り。

イ:〇
 監査役は、会社の業務および財産の状況について調査する権限を有している。これは監査役の職務遂行に必要な権限として会社法上認められており、正しい記述である。

ウ:✕
 監査役は、当該会社およびその子会社の取締役・使用人を兼ねることはできない。子会社の使用人についても兼任不可であるため、本肢は誤り。

エ:✕
 監査役は、一定の要件を満たせば、監査役会の決議を経ることなく、取締役の違法行為に対して差止め請求をすることができる。差止め請求に監査役会の決議が必須とする本肢は誤り。


学習のポイント

  • 監査役の報酬は株主総会の決議事項であり、取締役会では定められない。
  • 監査役は業務・財産の調査権限を有しており、監査の実効性確保に不可欠。
  • 兼任禁止の範囲は、当該会社だけでなく子会社にも及ぶ点に注意。
  • 差止め請求は監査役個人でも可能であり、監査役会の決議は不要な場合がある。