過去問解説(経営法務)_2023年(R5年) 第12問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)

問題文

不正競争防止法に関する記述として、最も適切なものはどれか。


不正競争防止法第2条第1項第1号に規定する、いわゆる周知表示混同惹起行為において、「商品の包装」は「商品等表示」に含まれない。
不正競争防止法第2条第1項第2号に規定する、いわゆる著名表示冒用行為と認められるためには、他人の商品又は営業と混同を生じさせることが1つの要件となる。
不正競争防止法第2条第1項第4号乃至第10号に規定される営業秘密に該当するには、秘密管理性、独創性、新規性の3つの要件を満たすことが必要である。
不正競争防止法第2条第1項各号でいう「不正競争」として、「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為」が同法に規定されている。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:✕
 「商品の包装」は不正競争防止法における「商品等表示」に含まれる。よって含まれないとする本肢は誤り。

イ:✕
 著名表示冒用行為は、著名性のある表示を使用すること自体が禁止対象であり、混同の要件は不要である。混同が要件とする本肢は誤り。

ウ:✕
 営業秘密の要件は「秘密管理性」「有用性」「非公知性」であり、「独創性」「新規性」は要件ではない。要件の誤認があるため本肢は誤り。

エ:〇
 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知・流布は、不正競争防止法に規定される不正競争行為の一つであり、正しい記述である。


学習のポイント

  • 「商品等表示」には包装・容器・商標などが含まれる。
  • 著名表示冒用行為は混同要件不要。周知表示混同惹起行為とは異なる。
  • 営業秘密の要件は「秘密管理性」「有用性」「非公知性」。独創性・新規性は不要。
  • 虚偽の事実による信用毀損行為も不正競争行為として明確に規定されている。