過去問解説(経営法務)_2023年(R5年) 第14問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★☆☆(頻出ではないが、学習価値が高い。)

問題文

以下の会話は、衣服メーカーの社長である甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。

この会話の中の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを次ページの解答群から選べ。


甲 氏:「当社開発部が今までにない毛玉取り器の開発に成功したため、半年前に実用新案登録出願をして、実質的に無審査なのですぐに実用新案登録されました。

     最近、この毛玉取り器が結構、話題になって、当社の主力商品になりつつあります。実用新案権は存続期間が短いので、特許を取りたいのですが、何かよい方法はありませんか。」

あなた:「確かに、特許権の存続期間は、原則として、特許法上 A から20年と権利が長いですから、特許を取った方がベターですよね。自己の実用新案登録に基づいて特許出願をすることができる、と聞いたことがあります。いろいろと要件はあるようですが、1つの要件として、その実用新案登録に係る実用新案登録出願の日から原則として、B を経過していると、実用新案登録に基づく特許出願はできません。その手続きをされる場合には、知り合いの弁理士さんを紹介できますよ。」

甲 氏:「よろしくお願いします。」


〔解答群〕

A:特許権の設定登録の日 B:18カ月
A:特許出願が出願公開された日 B:18カ月
A:特許出願の日 B:1年
A:特許出願の日 B:3年

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:✕
 特許権の存続期間は「特許出願の日」から20年であり、「設定登録の日」ではない。起算点の誤りがあるため本肢は誤り。

イ:✕
 出願公開日は存続期間の起算点ではない。また、18カ月という期間も誤りであるため、本肢は不適切。

ウ:✕
 特許出願の日は正しいが、実用新案登録出願の日から「1年」ではなく「3年」が要件となるため、本肢は誤り。

エ:〇
 特許権の存続期間は「特許出願の日」から20年であり、実用新案登録出願の日から「3年」を経過すると、実用新案登録に基づく特許出願はできなくなる。両方とも正しい記述である。


学習のポイント

  • 特許権の存続期間は「特許出願の日」から起算される。
  • 実用新案登録に基づく特許出願は、出願日から原則3年以内に行う必要がある。
  • 出願公開日や設定登録日は、存続期間や特許出願の要件とは関係しない。
  • 実用新案から特許への移行制度は、期限と要件を正確に押さえることが重要。