過去問解説(経営法務)_2023年(R5年) 第20問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★☆☆(頻出ではないが、学習価値が高い。)

問題文

共有に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、別段の意思表示はないものとする。


意匠権の各共有者は、その登録意匠をその持分に応じて実施をすることができる。
商標権の各共有者は、他の共有者の同意を得なくてもその持分を譲渡することができる。
著作権の各共有者は、自ら複製等の著作権の利用をする場合でも、他の共有者全員の同意が必要である。
不動産の各共有者は、共有物の全部について、自己の持分に関係なく使用をすることができる。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:✕
 意匠権の共有者が登録意匠を実施するには、他の共有者全員の同意が必要である。持分に応じて単独で実施できるとする本肢は誤り。

イ:✕
 商標権の持分譲渡にも、他の共有者の同意が必要である。単独で譲渡できるとする本肢は誤り。

ウ:〇
 著作権の共有者が複製等の利用を行う場合、他の共有者全員の同意が必要である。正しい記述である。

エ:✕
 不動産の共有者は、持分に応じた範囲で使用する権利を有するが、共有物の全部を自由に使用できるわけではない。持分に関係なく使用できるとする本肢は誤り。


学習のポイント

  • 知的財産権(著作権・意匠権・商標権)の共有では、利用や譲渡に他の共有者の同意が必要となる。
  • 不動産の共有では、持分に応じた使用が原則であり、全体を自由に使えるわけではない。
  • 共有に関する規定は、財産の種類によって異なるため、個別に整理しておくことが重要。