難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
- 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
- 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)
問題文
下表は、会社法が定める監査役設置会社における取締役と監査役の任期をまとめたものである。空欄A~Cに入る数値と語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
なお、本問においては、補欠取締役・補欠監査役が取締役・監査役に就任した場合の任期、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社となるための定款変更、公開会社となるための定款変更、監査役の監査権限を会計監査に限定する定款変更等による任期の終了は考慮しないものとする。
また、定款に剰余金配当に関する特段の定めはない。
取締役 | 監査役 | |
---|---|---|
原則 | 選任後 A 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで | 選任後 4 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで |
公開会社ではない会社の特則(任期の伸長) | 定款により、選任後 10 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで伸長可能 | 定款により、選任後 B 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで伸長可能 |
任期の短縮 | 定款又は株主総会の決議によって短縮可能 | 定款又は株主総会の決議によって短縮 C |
〔解答群〕
ア
A:1 B:8 C:不可
イ
A:1 B:10 C:可能
ウ
A:2 B:8 C:可能
エ
A:2 B:10 C:不可
出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:エ
A:2 B:10 C:不可
解説
- 取締役の任期(原則):選任後「2年以内」に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで。
- 監査役の任期(原則):選任後「4年以内」に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで。
- 公開会社ではない会社の特則(任期の伸長):
- 取締役:定款により「10年以内」まで伸長可能。
- 監査役:定款により「10年以内」まで伸長可能。
- 任期の短縮:
- 取締役:定款または株主総会の決議により短縮可能。
- 監査役:短縮は「不可」。
学習のポイント
- 取締役と監査役では、任期の原則が異なる(2年 vs 4年)。
- 公開会社でない場合、定款で任期を最大10年まで伸長可能。
- 監査役の任期は、短縮できない点が重要な違い。
- 定款変更による柔軟な任期設定は、企業統治設計において重要な選択肢。