過去問解説(経営法務)_2022年(R4年) 第13問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する。)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい。)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)

問題文

以下の会話は、X株式会社を経営する甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話の中の空欄AとBに入る期間と記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

なお、会話の中で「マドプロ出願」とは「マドリッド協定議定書(マドリッドプロトコル)に基づく国際登録出願」を指すものとする。


甲氏:「うちの会社の文房具は外国の方にも好まれるようで、海外でも販売していくことを計画しています。この文房具の名前を日本で商標登録出願したばかりであり、同じ商標を海外でも商標登録しておきたいのですが、どのような方法がありますか。」

あなた:「その日本の商標登録出願を基礎として、優先期間内にパリ条約による優先権を主張して外国に出願する方法があります。商標の場合、優先期間はAです。優先権を主張した出願は、日本の出願時に出願されたものとして登録要件を判断される、という利点があります。しかし、パリ条約による優先権を主張して出願するには、国ごとの出願手続が必要です。」

甲氏:「うちの会社が出願したいのは、1か国や2か国ではなく、より多くの国々です。」

あなた:「多数の国に一括して出願できるマドプロ出願という制度があります。これは日本の特許庁に出願できます。」

甲氏:「日本での商標登録出願をしたばかりなのですが、この登録を待ってからマドプロ出願をすることになりますか。」

あなた:「B。」


〔解答群〕

A:6か月 B:日本の商標登録出願を基礎として、マドプロ出願ができます
A:6か月 B:日本で商標登録出願をしただけでは、マドプロ出願をすることはできません。基礎となる商標が登録されるまで待つ必要があります
A:12か月 B:日本の商標登録出願を基礎として、マドプロ出願ができます
A:12か月 B:日本で商標登録出願をしただけでは、マドプロ出願をすることはできません。基礎となる商標が登録されるまで待つ必要があります

出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ア
A:6か月 B:日本の商標登録出願を基礎として、マドプロ出願ができます


解説

ア:〇
商標の優先期間は6か月。マドプロ出願は、登録を待たずに日本での商標登録出願を基礎として行うことができる。正しい組み合わせ。

イ:×
優先期間は正しいが、マドプロ出願は登録前でも可能。登録を待つ必要があるとする記述は誤り。

ウ:×
優先期間は6か月であり、12か月とする記述は誤り。マドプロ出願の説明は正しいが、Aが誤り。

エ:×
優先期間が誤っており、さらにマドプロ出願に登録を要するとする記述も誤り。両方誤っている。


学習のポイント

  • 商標の優先期間は6か月。特許の12か月と混同しないよう注意。
  • マドプロ出願は、商標登録出願を基礎として、登録前でも可能。国際出願の利便性が高い。
  • パリ条約による優先権主張とマドプロ出願は、制度の目的と手続が異なるため、区別して理解することが重要。