難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する。)
- 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい。)
- 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)
問題文
以下の会話は、X株式会社の広報担当者である甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話の中の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
甲氏:「弊社のパンフレットに掲載する絵柄の制作を、外部のイラストレーター乙氏に依頼することとなりました。この絵柄の著作権について教えていただきたいのですが。」
あなた:「乙氏は著作権法上、AとBを有します。例えば、乙氏の意に反して絵柄の内容を勝手に改変すると、Aの同一性保持権の侵害となります。AはC。」
〔解答群〕
ア
A:著作権 B:著作者人格権 C:契約によって著作者から譲り受けることができます
イ
A:著作者人格権 B:著作権 C:著作者の一身に専属し、譲り受けることができません
ウ
A:著作者人格権 B:著作権 C:著作者の一身に専属し、譲り受けることができませんが、同一性保持権を契約で譲渡の目的として規定すれば、著作者から譲り受けることができます
エ
A:著作者人格権 B:著作隣接権 C:契約によって著作者から譲り受けることができます
出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:イ
A:著作者人格権 B:著作権 C:著作者の一身に専属し、譲り受けることができません
解説
ア:×
著作権は譲渡可能だが、同一性保持権は著作者人格権に属する。Aに「著作権」を置くと、同一性保持権の説明と矛盾する。
イ:〇
著作者人格権は著作者の一身に専属し、譲渡不可。同一性保持権は著作者人格権の一部であり、改変に対する保護を提供する。正しい組み合わせ。
ウ:×
著作者人格権は譲渡不可であり、契約で譲渡目的を定めても譲渡はできない。Cの記述が誤り。
エ:×
著作隣接権は実演家・レコード製作者・放送事業者などに認められる権利であり、イラストレーターには該当しない。Bの記述が誤り。
学習のポイント
- 著作権は財産権であり、譲渡可能。著作者人格権は一身専属で譲渡不可。
- 同一性保持権は著作者人格権の一部であり、著作物の改変に対する保護を提供する。
- 実務では、著作権の譲渡契約と著作者人格権の不行使特約を区別して理解することが重要。
- 著作隣接権は著作物の創作者ではなく、伝達者に認められる権利であるため、対象者に注意。