過去問解説(経営法務)_2022年(R4年) 第18問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)

問題文

時効に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、別段の意思表示はないものとする。


共同相続人に対する相続回復の請求権は、時効の完成猶予や更新がなければ、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。
時効期間を延長する特約も、短縮する特約も、有効である。
人の身体の侵害による損害賠償請求権は、時効の完成猶予や更新がなければ、権利を行使することができる時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する。
人の身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、時効の完成猶予や更新がなければ、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。

出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:エ
人の身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、損害・加害者を知った時から5年で時効消滅。


解説

ア:×
相続回復請求権の消滅時効は「10年」。3年とする記述は誤り。

イ:×
時効期間の延長は可能だが、短縮は原則として無効。両方有効とする記述は誤り。

ウ:×
身体の侵害による損害賠償請求権は、権利行使可能時から「20年」で消滅。10年とする記述は誤り。

エ:〇
不法行為による損害賠償請求権は、損害および加害者を知った時から「5年」で時効消滅。正しい記述。


学習のポイント

  • 不法行為による損害賠償請求権は「主観的起算点:知った時から5年」「客観的起算点:行為時から20年」の二重時効構造。
  • 相続回復請求権は10年で消滅。短期時効と混同しないよう注意。
  • 時効期間の延長は契約で可能だが、短縮は原則として無効。
  • 身体の侵害に関する損害賠償は、特に時効期間が長く設定されているため、条文の区別が重要。