難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★★☆(相続法の具体的適用。図解読解力が必要。)
- 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
- 重要度:★★★★☆(実務でも重要な相続分配の理解。)
問題文
被相続人Xが死亡し、相続が生じた。AはXの配偶者である。B、C、E及びGはA及びXの子である。DはCの配偶者であり、I及びJはC及びDの子である。FはEの配偶者であり、KはE及びFの子である。HはGの配偶者であり、GとHとの間には胎児Lがおり、胎児LはX死亡後に生きて生まれた。
なお、A、C及びGはX死亡以前に死亡しており、Eは相続放棄をしている。
【家系図(縦型ツリー構造)】
X(被相続人)
└─ 亡A(配偶者)
├─ B(健在)
├─ 亡C
│ ├─ D(配偶者)
│ └─ I・J(代襲相続)
├─ E(相続放棄)
│ ├─ F(配偶者)
│ └─ K(相続権なし)
└─ 亡G
├─ H(配偶者)
└─ L(胎児→出生済・代襲相続)
この場合、Xの相続財産について、それぞれの相続人が相続する割合として、最も適切なものはどれか。
なお、遺言はなく、遺産分割協議も整っておらず、相続人はいずれも廃除されていないものとし、寄与分及び特別受益についても考慮しないものとする。
〔選択肢〕
ア
Bが3分の1、Iが6分の1、Jが6分の1、Kが3分の1を相続する。
イ
Bが3分の1、Iが6分の1、Jが6分の1、Lが3分の1を相続する。
ウ
Bが4分の1、Iが4分の1、Jが4分の1、Lが4分の1を相続する。
エ
Bが4分の1、Iが8分の1、Jが8分の1、Kが4分の1、Lが4分の1を相続する。
出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:イ
Bが3分の1、Iが6分の1、Jが6分の1、Lが3分の1を相続する。
解説
【前提整理】
- 被相続人Xの配偶者Aは既に死亡 → 配偶者相続なし。
- 子Bは健在 → 直接相続人。
- 子C・Gは死亡 → 代襲相続が発生。
- 子Eは相続放棄 → その系統は相続権なし。
- 胎児Lは出生済 → 相続権あり(民法第886条)。
【相続人の確定】
- Xの子は4人(B、C、E、G)だが、C・Gは死亡、Eは放棄。
- よって、B(本人)、Cの子(I・J)、Gの胎児Lが相続人。
- Cの子I・Jは代襲相続人。
- Gの胎児Lは出生により代襲相続人となる。
【相続分の計算】
- 本来の子4人で均等 → 1人あたり1/4。
- Eは放棄 → その分は他の相続人に分配されない。
- Cの子I・Jが1/4を2分割 → 各1/8(=6分の1)。
- Gの子Lが1/4 → 3分の1。
- Bが1/4 → 3分の1。
→ よって、
- B:3分の1
- I:6分の1
- J:6分の1
- L:3分の1
学習のポイント
- 相続放棄がある場合、その分は他の相続人に分配されない(法定相続分の再計算は不要)。
- 代襲相続は直系卑属に限られ、胎児も出生すれば相続権を有する。
- 相続図を正確に読み取り、誰が代襲するか、誰が除外されるかを見極める力が問われる。
- 相続分は「頭割り」→「代襲分割」の順で計算する。