過去問解説(経営法務)_2021年(R3年) 第1問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(基本知識で対応可能。条文ベース。)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70〜80%。比較的易しい。)
  • 重要度:★★★☆☆(社債制度は頻出ではないが、基礎理解は必要。)

問題文

会社法が定める株式会社の社債に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、本問における会社は取締役会設置会社である。


公開会社ではない会社においては、社債の募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
公開会社においては、社債の募集事項の決定は、すべて取締役会の決議によらなければならず、代表取締役に委任できる事項はない。
社債権者は、社債の種類ごとに社債権者集会を組織する。
社債を発行する場合、発行する社債の総額が1億円以上である場合には、必ず、社債管理者を設置しなければならない。

出典:中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ウ
社債権者は、社債の種類ごとに社債権者集会を組織する。


解説

ア:×
社債の募集事項の決定は、原則として取締役会の決議による。公開会社でない場合でも、株主総会の決議は不要。記述は誤り。

イ:×
社債の募集事項のうち、一定の事項(発行方法など)は取締役会が決定するが、代表取締役への委任も可能。すべて委任不可とする記述は誤り。

ウ:〇
会社法では、社債権者は社債の種類ごとに社債権者集会を組織できると定められている。正しい記述。

エ:×
社債管理者の設置は、原則として必要だが、一定の要件(社債の種類、発行条件など)により不要となる場合もある。1億円以上で必ず必要とする記述は誤り。


学習のポイント

  • 社債権者集会は、種類ごとに組織され、社債権者の共通利益を調整する場として機能する。
  • 社債管理者の設置義務は、金額だけでなく、社債の性質や発行条件によって異なる。
  • 取締役会設置会社では、社債の募集事項は原則として取締役会決議で決定されるが、委任可能な範囲もある。