過去問解説(経営法務)_2021年(R3年) 第6問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)

問題文

会社法が定める取締役会と監査役会の比較に関する記述として、最も適切なものはどれか。

なお、本問における会社は、監査役会設置会社であって、公開会社ではなく、かつ、大会社ではない。また、定款に別段の定めはないものとする。


取締役会:取締役会の決議に参加した取締役であって、当該決議に係る議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定される。
監査役会:監査役会の決議に参加した監査役であって、当該決議に係る議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定される。
取締役会:取締役会は、2か月に1回以上開催しなければならない。
監査役会:監査役会は、取締役会が開催される月には開催しなければならない。
取締役会:取締役会は、取締役の全員が招集手続の省略に同意すれば、監査役が同意しなくても、招集手続を省略して開催することができる。
監査役会:監査役会は、監査役の全員が招集手続の省略に同意すれば、招集手続を省略して開催することができる。
取締役会:取締役会を構成する取締役のうち2人以上は、社外取締役でなければならない。
監査役会:監査役会を構成する監査役のうち半数以上は、社外監査役でなければならない。

出典:中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ア
議事録に異議をとどめない者は、決議に賛成したものと推定される。


解説

ア:〇
会社法では、取締役会および監査役会の決議に参加した者が議事録に異議を述べない場合、その者は当該決議に賛成したものと推定される。正しい記述。

イ:×
取締役会・監査役会ともに、法令上「開催頻度の義務」は定められていない。記述は誤り。

ウ:×
取締役会の招集手続省略には、取締役全員の同意が必要であり、監査役の同意は不要。監査役会は、監査役全員の同意があれば省略可能。記述は一部誤り。

エ:×
社外取締役・社外監査役の人数要件は、公開会社や大会社において適用される。設問条件では「公開会社でなく、大会社でもない」ため、社外役員の人数要件は適用されない。記述は誤り。


学習のポイント

  • 議事録に異議を述べない者は、決議に賛成したものと推定される。
  • 取締役会・監査役会の開催頻度は法定されておらず、定款や業務運営に依存する。
  • 招集手続の省略には、構成員全員の同意が必要。取締役会に監査役の同意は不要。
  • 社外役員の人数要件は、公開会社・大会社に限定される。設問条件に注意。