過去問解説(経営法務)_2021年(R3年) 第9問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★☆☆(頻出ではないが、学習価値が高い。)

問題文

意匠登録制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。


アイスクリームの形状は時間の経過により変化するため、意匠登録できる場合はない。
意匠登録出願人は、意匠権の設定の登録の日から3年以内の期間を指定して、その期間その意匠を秘密にすることを請求することができる旨が意匠法に規定されている。
乗用自動車の形状は意匠登録できる場合はない。
同時に使用される一組の飲食用ナイフ、フォーク、スプーンのセットの各々に同一の模様を施したとしても、これらを一意匠として出願し登録することはできない。

出典:中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:イ
意匠登録された意匠は、一定期間、非公開にすることができる。


解説

ア:×
アイスクリームの形状であっても、一定の条件を満たせば意匠登録は可能。時間経過による変化があるからといって一律に登録不可とはならない。記述は誤り。

イ:〇
意匠登録出願人は、意匠権の設定登録の日から3年以内の期間を指定して、その意匠を秘密にすることを請求できる制度がある。これは企業の製品戦略上、模倣防止や市場投入タイミングの調整に有効。正しい記述。

ウ:×
乗用自動車の形状も、意匠登録の対象となり得る。実際に多くの自動車メーカーが意匠登録を活用している。記述は誤り。

エ:×
複数の物品が一体として使用される場合、一定の条件を満たせば「一意匠」として出願・登録することが可能。飲食用カトラリーセットなどは典型例。記述は誤り。


学習のポイント

  • 意匠登録制度では、登録後に一定期間非公開とする「秘密意匠制度」が存在する。
  • 意匠の対象には、食品・乗用車・日用品など幅広い物品が含まれる。
  • 一組の物品(セット物)も、統一性があれば一意匠として出願可能。
  • 実務では、製品デザインの保護や模倣防止に意匠制度が活用される。