難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
- 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
- 重要度:★★★★☆(地域団体商標制度は実務でも重要。)
問題文
以下の会話は、地方都市であるA市の経済団体の理事であるX氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話の中の空欄①と②に入る記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、実在する特産品を考慮する必要はない。
X氏:「私が住むA市内のA漁港で水揚げされるマグロは、身がぷりぷりしていて、脂ものっていてとてもおいしいです。地元の旅館や飲食店でお客さんに大好評で、地元のスーパーでもこの刺身のコーナーが設けられているほどです。ここ10年くらいは隣接他県でも知られており、わざわざ隣の県から買いに来る人もいます。
しかしそれでも地方都市なものですから、全国的に知られているということはなく、リサーチして遠隔地の消費者に聞いてみたのですが、このマグロを知らないという回答がほとんどでした。地域活性化のためにも、『Aまぐろ』というブランドで全国的に知らしめて売り出したいです。地域ブランドを商標登録する方法があると聞いたのですが、詳しく教えていただけませんか。」
あなた:「地域団体商標のことですね。登録が認められるには要件がいろいろとあるようですが。」
X氏:「『名産』の文字を付して、『A名産まぐろ』という文字からなる地域団体商標は登録可能ですか。」
あなた:「①。」
X氏:「実は、A市には、マグロの他にもわかめ、魚の缶詰、漬物など特産物がたくさんあり、今後、様々な商品に『A』の名前を付けて売り出していくつもりです。まだ、どのような商品に付するか未定です。『A』の文字からなる商標を地域団体商標として登録することは可能ですか。」
あなた:「②。」
〔解答群〕
②:いいえ、地域の名称のみからなる商標は、地域団体商標として登録を受けることができません
②:はい、地域の名称のみからなる商標も、地域団体商標として登録を受けることができます
②:いいえ、地域の名称のみからなる商標は、地域団体商標として登録を受けることができません
②:はい、地域の名称のみからなる商標も、地域団体商標として登録を受けることができます
出典:中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:ウ
①:はい、制度的には登録可能です
②:いいえ、地域の名称のみからなる商標は、地域団体商標として登録を受けることができません
解説
①について
「A名産まぐろ」のように「名産」などの文字を含む商標であっても、識別性が認められ、地域団体商標の要件を満たす場合には登録可能とされる。制度的には排除されるものではないため、「はい、制度的には登録可能です」が正しい。
②について
地域の名称のみ(例:「A」)からなる商標は、識別性が乏しく、地域団体商標として登録を受けることはできない。商品やサービスとの結びつきが必要であり、単なる地名では登録要件を満たさない。よって「いいえ」が正しい。
他の選択肢は、①または②のいずれかに誤りが含まれている。
学習のポイント
- 地域団体商標は、地域名+商品名などの組み合わせが基本。単なる地名では登録不可。
- 「名産」「特産」などの文字を含む商標も、識別性が認められれば登録可能。
- 地域ブランド戦略において、商標登録は重要な知的財産保護手段となる。
- 登録には、地域での使用実績や知名度、団体の構成要件など複数の条件がある。